景気は緩やかな上向き

国内景気は、地方と大都市の双方で改善し、上向き傾向にあるという。

帝国データバンク(TDB)の景気動向調査によると、11月の景気DIは前期比0.8ポイント増の44.1で、3カ月連続で改善した。

3カ月連続の改善は、2015年3月以来、1年8カ月ぶりである。米大統領選のショックは短期間で反転し、円安株高が進んだことにより一部企業で好材料となった。

国内の景気動向については、震災復興とともに、住宅着工戸数の増加や好調な自動車生産などがプラス要因となり、中小企業を中心に景況感が上向いたと分析している。

また、気温の低下で季節商品が好調だったほか、軽油など燃料価格が安定的だったことも景況感を押し上げたようだ。

全体では10業界のうち、「その他」を除く9業界で改善し、「不動産」「金融」「卸売」など4業界で改善幅が1ポイントを超えている。

「卸売」業界の景気DIは前月比1.1ポイント増の40.4で5カ月連続の改善である。住宅・建築着工戸数が増加し「建材・家具、窯業・土石製品卸売」、建築向けや自動車向けの「鉄鋼・非鉄・鉱工業製品卸売」が好調で、10カ月ぶりに40台を回復した。

「運輸・倉庫」業界の景気DIは、前月比0.4ポイント増の44.4となり、5カ月連続で改善している。地域的にも、全国10ブロックのうち、北海道、東北、北関東、東海、近畿、中国、九州の7ブロックで改善し、上向き傾向を示している。

トラック運送事業では「軽油単価が安定している」ことに加え、「年末に向けて、物量が増加し始めていると感じる」ことなどが好材料となっており、年末年始にかけての荷動きを期待する事業者が少なくない。

また、全国中小企業団体中央会(全国中央会)がまとめた10月の中小企業景況調査でも、中小運輸業の売上高と景況DIは小幅ながら上昇しており、4カ月連続で改善している。

ただ、中小企業にとって懸念されるのは「人手不足」である。TDB、全国中央会のいずれの調査結果からも、人手不足が受注活動の妨げになっていることがうかがわれる。「仕事はあるが、人手不足で受けられない」との声も聞かれ、不透明材料となっている。

今後の景気見通しについてTDBでは、人手不足で人件費が上昇し、負担は増すが、企業の設備投資は徐々に増加することが見込まれており、景気は「緩やかな上向き傾向で推移する」とみている。