70周年迎え、新たなステージ
トラック運送事業のナショナルセンターである全日本トラック協会(全ト協)が創立70周年を迎え、14日の記念式典は、70年を節目に、新しいステージをめざす決起大会のようであった。
全ト協の歴史は、前身となる日本トラック協会(日ト協)が1948年(昭和23年)2月の設立であり、戦後の日本の歴史とほぼ重なる。
全ト協の70年史によると、終戦を迎えた1945年(昭和20年)のトラック保有車両数は10万1408台で、戦前・戦中のピークだった1940年に比べ68%の水準に落ち込んでいた。大半は木炭や薪を燃料にした馬力の弱い代燃車で、輸送力はきわめて貧弱だった。
経済が復興期を経て、成長期に入るのは1960年で、60年代中盤から戦後最大の好景気を迎え、69年8月に日ト協と全国陸運貨物協会、全国貨物運送事業組合連合会の3組織が統合、一本化した組織として全ト協が設立された。
70周年式典で、第14代目会長となる坂本克己会長は、「わが国経済を支え続けてきた先人たちの努力が今日のトラック運輸産業の地位を築き上げた」と70周年を節目として新たなステージをめざす決意を表明した。
最近のトラック運送事業を取り巻く環境は、少子高齢化の中で、長時間労働などを背景にトラックドライバー不足が大きな課題となっている。また、ドライバーの高齢化も進んでおり、業界の4割強は40~54歳だ。
トラック運送業界には人材不足、労働環境の改善、適正運賃・料金の収受など、解決すべき課題が山積している。まずは労働環境の改善を図っていくこと、「働き方改革」の実現が喫緊の課題としてあげられよう。
課題の解決に向け、政府は「自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」の行動計画に基づいて、①荷役時間や宅配の再配達の削減等による「労働生産性の向上」②荷役の機械化や中継輸送の活用等による「多様な人材の確保・育成」③荷主・元請の協力の確保や運賃・料金の適正収受による「取引環境の適正化」――の3本柱で施策を進めている。
「高度成長期から停滞期、そして現在に至るまで、一貫して日本経済を支え続けてきたのがトラック産業」(70年史「あいさつ」より)だ。だからこそ、「業界が一丸となれば必ず前進できる」(坂本会長)とポジティブに捉えているのだ。
70周年を契機として、新たな課題へのチャレンジに期待したい。