被災地を支えるトラック

西日本豪雨は、集配地の被災、高速道路の通行止めや鉄道貨物の物流寸断によって、広範囲に影響が及んだ。特に東日本地域と山陽地区や九州との間で運ばれる宅配便と通信販売などに大きな影響が出た。

国土交通省は、特殊車両の通行許可の優先処理のほか、コンビニ等への物資輸送車両を緊急車両扱いとするなどの対応をし、物流業界も救援物資輸送に全力を挙げている。

JR貨物では、山陽線、予讃線、伯備線の不通に伴い、トラックによる代行輸送にシフトしている。

国土交通省によると、被災地の物流確保や早期復旧等の観点から、企業活動等に伴う特殊車両通行許可申請の「目的地」または「出発地」が岡山、広島、愛媛、福岡各県の場合、最優先で処理を行い、可能な限り迅速に許可証を交付する方針だ。

物流の大動脈である山陽道、中国道、山陰道の3路線は被災地だが、通行止め解除後は大型車の交通量が被災前よりも1~3割増加し、被災地の物流を支えていることがわかった。

国交省が18日発表した、山陽道、中国道、山陰道の通行止め解除後の物流の状況によると、17日時点で3路線を利用する大型車交通量は、島根~広島断面が被災前の1日(17年7月平均値)約1・8万台から被災後には1日(18年7月8~17日平均値)約2・3万台と3割増え、島根~岡山断面も同約2・3万台から同約2・5万台へと1割増えた。

また、JR貨物の山陽線不通に伴うトラック代行輸送を支援するため、特殊車両通行許可の即日許可を実施している。即日許可の台数は12日に4台だったものの、13日には27台、14日が31台と増え、17日までには計85台に達した。

JR貨物では18日現在、福岡貨物ターミナル駅~広島貨物ターミナル駅間でコンテナ1日最大40個、北九州貨物ターミナル駅~広島貨物ターミナル駅で同最大24個、広島貨物ターミナル駅~岡山貨物ターミナル駅間で同最大128個のトラック代行輸送のほか、博多港~大阪港と北九州港~岡山港で船舶による代行輸送を行っている。

これまで緊急物資輸送でライフラインとしての力を発揮してきたトラック運送業界は、全日本トラック協会が9日に「豪雨災害対策本部」を立ち上げ、政府や関係自治体からの要請による物資輸送などに万全の態勢で対応する方針を決めている。

災害復旧に向けて緊急物資輸送するドライバーをはじめ、復旧活動に携わる全ての関係者に敬意を表したい。そして「物流」が持つ様々な力にも期待したい。