コスト吸収する運賃料金を

荷主業界で「商品値上げ」発表が依然として続いている。各社で共通していることは原材料費の高騰に加えて、人手不足による人件費増や物流費増などコストアップを吸収することが困難となったため、値上げに踏み切ったというものだ。

今月4~7日までに、明治、森永乳業、雪印メグミルクの3社は、牛乳・ヨーグルトなどを4月1日出荷分から、値上げする。3社とも生産者団体と生乳取引価格を4月から引き上げることで合意したこと、人件費や物流費などの上昇が「企業努力の限界を超える水準に至った」ことを理由としている。

物流業界では今後も、労働力不足のさらなる深刻化、働き方改革に伴うコストアップなどにより、物流コストの上昇トレンドは続くことが予想されている。荷主企業にとっても、ビジネスに不可欠な「モノを届ける」ためには、物流会社に一定の「対価」を支払うことは避けられず、負担の一部を購買者に転嫁する動きはさらに加速するだろう。

上場物流企業の18年4‐12月期決算発表は、好業績が目立つ。一昨年11月に標準貨物運送約款が改正され、「運賃」と「料金」を別建てで収受できるようになったが、こうした取り組みに加え、運賃料金の改善が進んでいることがうかがえる。

全日本トラック協会(全ト協)と日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が毎月公表している、求荷求車情報ネットワークシステム「WebKIT」の成約運賃指数は、1月が前年同月比9ポイント増の「128」。1月としては、初めて「120」を超え、2010年の調査開始以来、最高となった。

民間調査機関の景気動向調査でも運輸・倉庫業界は、1月の運賃・料金単価DIが55・2と高水準を維持し、運賃料金値上げが浸透していることを裏付けている。

ただ、この景気動向調査では、運賃・料金単価が高い水準を維持し、軽油価格が低下しているにもかかわらず、景気DIは49・1(前月50・5)と3カ月ぶりに50を割った。

ドライバーや作業員など固定の人件費、外注費用などコスト負担が重くのしかかっている。運輸・倉庫業界の景況感は、人手不足の深刻化がマイナス材料となっているほか、製造業からの出荷量減少や冬物商材など消費関連の荷動き低迷が、収益環境の悪化につながったようだ。

荷主企業の製品・商品価格改定は昨年以上に目立っている。この時期は人手不足による人件費などのコスト負担を吸収するため、適正運賃交渉を進めるチャンスでもある。思い切った行動に期待したい。