魅力ある物流業界に
物流企業トップの入社式訓示には、環境変化が著しい中で若い人たちの活躍に大きな期待が込められた。多くの入社式が行われた1日は新元号が公布され、「令和」を担うこれからの世代とともに成長戦略を描いた。
トラック運転者不足は一層深刻化しており、物流業界を取り巻く環境は厳しさを増す。働き方改革関連法が施行され、生産性向上・効率化への取り組みとともに、長時間労働の是正、働きやすい労働環境の実現が求められる。
一方で物流は、欠かせない社会的インフラとして経済、生活を支え、その役割は国内のみならずグローバルに広がる。さらにAI技術やロボティクスなど革新的な自動化技術の活用が進み、新たなビジネスモデル構築も経営の重点に置かれる。
各社の入社式では、トップがこれら事業環境の変化や実態を説明しながら、中期計画、ビジョンなど将来展望を述べ、ともに変革していく方向を示している。
ヤマトホールディングスの長尾裕社長は、働き方改革を経営の中心に据え、働きやすさと働きがいを構築し、次の100年に向けた経営基盤を構築すると説明した。
企業は働きやすい環境をつくりながら、若い人たちの前例にとらわれない発想を求めている。
各社トップからは、「時間外労働時間も少なくなりつつあるが、自身の向上へその時間を有効利用してほしい」(近鉄エクスプレス)と自己研鑚を促す一方で、「新しい視点や感性が必要。前例や慣習にとらわれない斬新なアイデアや、チャレンジ精神・行動力を」(SGホールディングス)など主体性、果敢に挑む姿勢を望む声が相次いだ。。
変化のスピードが速い中で「視野を広く、限定せずにさまざまな仕事を経験し、理解を深めてほしい」(日立物流)。個々が領域を超えることで企業も領域を超え、新たなビジネスモデルの創造に繋げていくことの重要さを指摘する。
労働力不足は喫緊の課題だが、一方で荷主の理解や社会的評価も大きく変化している。事業法改正、ホワイト物流推進運動などサプライチェーン全体で物流を改善する動きもより鮮明になってきた。こうした転換期において、若い世代のチャレンジ精神、自由な発想を生み出せるよう、企業側も多様な人材が成長できる環境を整えるとの決意を示す。
物流業界でキャリアを切り開こうとする人たちには、早く現場を理解し、新たな視点で物流業界の魅力を高めてほしい。