解禁で働き方改革推進
警視庁は21日、貨物集配中のトラック運送事業者に限って、路上駐車を認める専用スペースを東京都心などの幹線道路沿いの52カ所に設けた。
この集配トラックの駐車規制緩和は、トラック運送事業の生産性向上とドライバーの「働き方改革」など労働条件改善として、取り組まれてきた。全日本トラック協会(坂本克己会長)などトラック運送事業者団体の要望に応えたものだ。
警察庁は昨年2月、トラック運送業界などの「働き方改革」を支援するため、関係省庁連絡会議で取りまとめた「直ちに取り組む施策」に、「貨物集配中の車両にかかる駐車規制の見直し」を盛り込で、全国都道府県警察に通達した。
国はトラックなど自動車運送事業を「わが国の産業活動や国民生活の基盤となる運送サービスを提供する重要な産業」と位置づけ、この運送「サービスの提供を安定的・持続的に確保していくためにも、運転者の労働条件の改善は喫緊の課題」として「働き方改革実行計画」などを閣議決定している。
集配中のトラックにとって「駐車規制」は事業運営に大きな影響を及ぼした。首都圏の事業者は約260回の取り締まりを受け、かかったコストは約500万円近くまで上った。また、駐車場探しによるドライバーへの高ストレスからくる事故の懸念や集配作業効率の低下など、働き方改革の面でもドライバーによる負担が大きくなっていた。
警視庁では昨年4月から東京都港区や品川区、渋谷区などに集配貨物車専用の駐車スペースを試験的に設けたが、事業者からは「駐車スペースを設けたことは歓迎すべきことだが、その近くに配送エリアがなければ意味がない」という声も出ていた。
東京都トラック協会(東ト協/浅井隆会長)は昨年12月、警視庁に駐車規制緩和地区の要望書を提出。東ト協と全国物流ネットワーク協会(森日出男会長)に加盟する業者にアンケートを取り、都内122ヵ所に集配貨物車両専用駐車場の設置を要請した。
今回の緩和措置は、トラック運送事業者に限って路上駐車を認める専用スペースを設置するもので、実質的に路上駐車を“解禁”する措置といえるだろう。
路上駐車の解禁がトラック運送事業の「働き方改革」に寄与することを期待したい。