TDBが値上げ調査
運輸・倉庫の価格転嫁進まず
帝国データバンク(TDB)が企業の今後1年の値上げ動向について行ったアンケート調査によると、運輸・倉庫業界は「値上げしたいが、できない」企業が30・9%と全国(16・4%)を大きく上回っており、価格転嫁が進んでいない状況が明らかになった。原材料価格の高騰によるコストアップを受けた企業で製商品の値上げの動きが相次いでいる。インターネット調査を4月1-5日に実施(有効回答企業数1855社、うち運輸・倉庫業界94社)した。全体では「既に値上げした」(昨年10 月以降)との回答が32・7%で、「値上げ予定」(1年以内)も含めると64・7%と6割を超える。「値上げする予定はない」(1年以内)は7・4%、「値上げしたいが、できない」16・4%、「分からない」11・5%だった。業種別では「既に値上げした」は鉄鋼・非鉄・鉱業59・8%、化学品製造業55・6%、機械・器具卸売44・2%が高く、「値上げ予定」を含めるといずれも約8割になる。飲食料品・飼料製造は「既に値上げした」は24・4%だが、「値上げ予定」を含めると85・9%と最も高い。一方、値上げが進まないのが運輸・倉庫と不動産。運輸・倉庫は「既に値上げした」19・1%、「値上げ予定」含めても47・9%にとどまる。不動産は同12・9%、22・9%とさらに下回る。とくに運輸・倉庫業界は失注につながる懸念などを理由に値上げが進まず、「値上げしたいが、できない」が30・9%と高い。「値上げする予定はない」5・3%、「分からない」16・0%だった。また、規模別では「既に値上げした」は大規模、中小規模、うち小規模とも全体と大きく変わらず、「値上げ予定」含めると大規模53・3%に対し、中小規模66・4%、うち小規模64・5%となっている。