女性が輝く運送業界に
2016年の幕が開けた。昨年末は、トラック運送業界最大の政策課題であった、高速道路料金の最大5割引が来年度も1年間、継続されることが決まった。
国の予算は、ETC2.0利用者に限定することで256億円へと半減したが、NEXCO3社が経過措置の費用を200億円弱負担するため、合わせて400億円超の予算が振り向けられることになる。
来年度予算では、地球温暖化対策税の税率引き上げに伴い、エネ特を活用したトラック向け補助金も大幅な増額となった。
景気はどうか。日通総研の見通しによると、2016年度は、下期に消費増税前の駆け込み需要が発生すると見込み、実質経済成長率は2015年度1.1%増のあと、2016年度は国内民需を主体に1.4%増と増勢が若干加速すると見込んでいる。
国内貨物輸送量は、建設関連貨物が下押しし、総輸送量は2015年度0.2%減、2016年度0.4%減と前年度比微減が続くとの見通しだが、このうち営業用トラックについてみると、消費関連貨物や生産関連貨物の後押しにより、2015年度が1.1%増、2016年度も0.9%増と2年連続のプラスになると見込んでいる。
荷動きがよくなってくると心配なのが人手不足、とりわけドライバー不足だ。
全日本トラック協会が昨年11月にまとめた、7-9月期の景況感調査結果によると、トラック運送事業者の人手不足感指標は、4-6月の56.3から73.4へと17.1ポイントも上昇して過去最高となり、さらに10-12月期には82.7へと最高値を更新する見込みだ。
そこで本紙では、昨年の新年特集号で「トラガール」を取り上げたのに続き、今年も「女性活躍」をテーマに据えた。
昨年8月、女性が、職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が成立した。
これにより、今年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられることになる。
301人以上の企業は、4月までに、(1)自社の女性の活躍状況の把握・課題分析(2)行動計画の策定・届出(3)情報公表――などを行う必要がある。
女性の活躍状況とは、採用者に占める女性の比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性の比率――などで、大企業はこれらを把握し、課題を分析しなければならない。
去年もそうだったが、女性ドライバー等の取材に行くたび、女性が持つ潜在能力の高さを感じる。その最大のものは、コミュニケーション能力だ。農家に宅配便の配達に行くと、留守。「この時間は畑にいる」と判断して畑まで荷物を届けに行くと「よく来たな」と可愛がられ、その年の農産物の出荷の仕事を取ってくるという。
トラック運送事業での女性の活躍は、まだ緒についたばかり。女性が働きやすい環境の整備は、誰もが働きやすい環境を整備するということだ。トイレや更衣室の整備だけではない。手荷役の解消や短時間勤務の組合せなど、工夫の余地はある。トラック運送業界が、女性が輝く業界となることを願ってやまない。