厚労省、発着荷主に配慮要請

改善基準告示見直しで具体案

改善基準告示の見直しを議論する、労政審自動車運転者労働時間等専門委員会トラック部会の第6回会合が14日に開かれ、厚生労働省が荷主対策の対応案を示した。労働基準監督署が発着荷主企業に対し、長時間の恒常的荷待ちを発生させないよう努めること、運送業務の発注担当者に改善告示を周知するよう配慮要請する。運送業者への立入調査時の情報や、厚労省ホームページに設置する目安箱への情報などから対象企業を選定。国土交通省への情報提供、荷主対策の働きかけとも連携する。厚労省は前回の会合で個別荷主へのアプローチを検討している考えを示しており、その具体案を提示した。「関係省庁・団体の協力を得ながら、単に個別企業への対応だけでなく、幅広く業界団体や社会全体へのアプローチも並行し、さらに何ができるか検討していく」(尾田進監督課長)。運送業者が改善告示を守るためにも荷主が重要な役割を果たすことへ荷主の気づきを促し、これらを社会全体で共有していく必要性を求めた。トラック部会では荷主都合など商慣習をどう変えるかが議論の大きな焦点となっていた。使用者側は「我々に罰則があって荷主の行動は変わらないのは不合理。荷主が変わらないと議論は延々進まない中で、今回の具体案で道は開けた」との見解を示した。
●脳・心疾患の労災認定基準を念頭に
今回も事務局から具体的な見直し案は出なかったが、各項目の考え方として、拘束時間は「脳・心疾患の労災認定基準である月平均80時間、月100時間を念頭」、1日の拘束時間、休息期間は「現行告示はタクシーやバスと同じ基準であり、これら他業態の取りまとめ状況も踏まえた検討」、運転時間では「ILО条約等で基準が設けられ存置すべき」など提示した。労働者側の主張は変わらず、引き続き労使隔たりがあり、細部では溝が深いところもある。しかし今般の厚労省の対応案の提示もあり、使用者側からは「持ち帰り検討」との項目も聞かれ、次回会合で議論の進展が注目される。改正改善基準告示(2024年4月施行)は22年12月頃の告示公布に向けタクシーとバスは検討結果が示され、トラックは今夏までに取りまとめる方向である。