持続可能な物流を実現、3省庁連携
検討会が初会合、発着荷主・消費者も
物流を持続可能なものとする方策を検討するため、国土交通省、経済産業省、農林水産省は、有識者、関係団体、関係省庁からなる「持続可能な物流の実現に向けた検討会」(座長=根本敏則敬愛大学教授)を設置、2日に初会合を開いた。今年度は54回の会合を予定しており、年度内にも中間取りまとめを行う。物流は担い手不足が深刻化し、「2024年問題」も間近に迫る。カーボンニュートラルへの対応も求められ、「ものが運べなくなる」懸念が増す。ウクライナ情勢による物価高の影響も生じ、これら直面する課題を解決し、さらなる物流効率化を進めるには物流事業者や一部荷主だけでなく、着荷主を含む荷主や消費者も巻き込んだ検討の場が必要との考えだ。省庁連携による物流改善の議論は、2040年までの将来像を描いた「フィジカルインターネット実現会議」やパレットなど標準化に向けた「官民物流標準化懇談会」が進められているが、新たな検討会は喫緊である物流課題全般に対し対応策を示すもの。初会合では事務局が物流を取り巻く現状と取組状況を説明したうえで、議論すべき論点の方向性を示した。具体的な課題に①労働時間規制による物流への影響、②物流の危機的状況に対する消費者や荷主基調の理解が不十分、③非効率な商慣習・構造是正、取引の適正化、④着荷主の協力の重要性、⑤物流の標準化・効率化(省力化・省エネ化)の推進への環境整備――をあげた。差し迫った課題にどこまで実効性ある方策が打ち出させるか。その本丸は荷主、とりわけ着荷主の協力が得られる仕組みづくりを導き出せるかにかかっていることで委員の考えは一致している。冒頭挨拶で経産省の茂木正商務・サービス審議官は「物流を持続可能なものにするためには発着荷主、一般消費者など物流にかかわるすべての関係者がそれぞれの役割をもって諸課題を解決していかなくてはならない」と議論の根幹を指摘した。国交省の鶴田浩久公共交通・物流政策審議官は「物流には時間など様ざまな価値が提供されており、しっかり価格に反映されなければならない」、農水省の高橋孝雄総括審議官は「食品流通のうち生鮮食品の輸送は長距離が多いことから取扱いが敬遠される事例もあり、ドライバーの負担が大きいとイメージしている」などと述べた。この後行われた委員からの意見交換では問題解決に向け、「物流制約」「環境の視点」「物流コストの見える化」「サプライチェーンにある課題」などキーワードに議論を進めるべきとの考えが示された。次回以降、関係団体などヒアリングや課題を踏まえた対策を議論する。