運輸・倉庫2カ月ぶり改善

TDB9月景気動向

帝国データバンク(TDB)が発表した9月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・9ポイント増の38・2と2カ月ぶりに改善した。調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送は同2・3ポイント増の39・4と3カ月連続で改善。ともに今年に入ってからは最も高い水準となる。全体の景気DIは前月比0・5ポイント増の41・9と小幅ながら2カ月連続で改善した。10 月以降の値上げを前に卸売などで駆け込み需要もみられた。DX需要が旺盛なほか、新規感染者数が小康状態で徐々に人流が戻りつつあり、個人向けサービス業の景況感が上向いた。一方、原材料の高騰や円安傾向が進むなか、仕入単価DIは20業種で過去最高を更新した。今後は、地政学的リスクなど下押し要因も多いが、経済正常化に向けたプラス材料も表れ、おおむね横ばい傾向で推移するとみている。運輸・倉庫業界も駆け込み需要を含め一般景況のプラス面から数値は上向いた。各指標は仕入単価DIが72・3(前月72・1)に上昇、引き続き原料高騰が収益を圧迫する。一方で販売単価DIも55・9(前月54・7)とコロナ禍では最も高い水準。雇用過不足DIは正社員61・4(前月60・7)、非正社員57・8(前月56・4)と人手不足感も高まっている貨物関係の事業者からは「輸入コンテナが増えている」(冷蔵倉庫)一方、「全般的に回復基調と思われたが物価の上昇や円安などの影響で停滞感がでてきた」(普通倉庫)、「円安の影響もあり原料の買い負けが発生。価格転嫁が難しく荷動きが非常に鈍い」(一般貨物自動車運送)など聞かれる。先行きも「主要な売り上げのコンテナの取扱い増加や主要顧客の業績も好調と予想」(港湾運送)、「上海ロックダウンの解除とコロナ終息への期待」(集配利用運送)が聞かれる一方、「2024年問題でトラック業者の労働環境問題」(一般貨物自動車運送)への懸念も強まる。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは3カ月後41・3、6カ月後42・7、1年後46・3となっている。