登録企業1万5千社超える、パートナーシップ構築宣言

小規模事業者へしわ寄せ防ぐ

取引先との共存共栄関係の構築を目指す「パートナーシップ構築宣言」の登録企業数が1万5000社を超えた。14日時点で1万5033社、うち「運輸業、郵便業」は358社が宣言する。足元の燃料高騰の価格転嫁対策に地球温暖化対策など、サプライチェーン全体で取り組む必要がある社会的課題が山積する中で同宣言のさらなる拡大が期待される。経済界・労働界の代表、関係閣僚をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」で2020年7月に大企業と小規模事業者の実質的なパートナーシップ構築を目指す同宣言を立ち上げた。小規模事業者への取引条件のしわ寄せを防止する下請取引の適正化を宣言した企業を公表すると同時に、ロゴマークを作成し普及を後押しするほか、経済産業省の一部補助金で加点措置が講じられる。登録企業数は大企業(資本金3億円超)の伸びが顕著。中小が多い運輸業は低調だったがここにきて増加傾向。1万社を超えた今年6月23日時点で全体1万146社のうち「運輸業、郵便業」は148社だったが、3カ月で2・4倍である。宣言企業の拡大へ国も様ざまな措置を講じる。下請振興法に基づき下請取引の望ましい在り方を示す「振興基準」(経済産業大臣告示)を7月に改正し、パートナーシップ構築宣言を行うことを親事業者の努力義務として位置付けた。インセンティブ面では経済産業省以外でも国土交通省のモーダルシフト等推進事業費補助金で、物流の総合効率化計画策定の調査事業やモーダルシフト等の初年度の経費支援も対象としている。
●主要団体正副会長企業の宣言有無を公表
11日の第4回推進会議で取組状況をフォローアップした。経産省は取引先企業への情報提供の観点から、主要団体の正副会長会社の宣言の有無の状況を一覧で公表した。対象は総合経済団体のほか、取引適正化に係る自主行動計画を策定、取引適正化へのコミットメントを表明する業界団体。それによると7日現在で全体では410社中365社(89%)が宣言済み。日本経済団体連合会 19社、日本商工会議所12社は100%、地域総合経済団体8団体は95社中91社(95・8%)が宣言済み。業界団体 50団体は284社中243社(85・6%)が宣言済み。トラック業界(全日本トラック協会)は14日現在で16社中15社が宣言済み、1社も宣言検討中である。また、宣言の取組状況調査では新たに下請企業にも実施した。下請企業から期待の高い取り組みは、「働き方改革の取組支援」、「データの相互利用」、「グリーン化支援」、「オープンイノベーション」、「人材支援」、「サイバーセキュリティ」など。さらに下請企業調査では宣言で遵守する取引適正化の重点5課題への宣言企業の取組状況も調査。価格協議では約85%が全ての下請企業に応じ、価格転嫁については約半数が4~6割程度の転嫁を受け入れている。