行動促す周知・広報を
厚生労働省は2024年度からの時間外労働時間の上限規制の適用、改正改善基準告示に関して、事業用自動車関係のほか、荷主、一般企業・消費者に向けても幅広く集中的な周知・広報活動を展開する。過労死防止にはすべての企業が関係することを広く浸透させることが必要であり、効果的な措置が望まれる。
改正改善告示は意見募集(11月26日締切)を経て、12月下旬に告示予定、2024年4月に施行される。トラックドライバーの年間拘束上限3300時間など全体では大きく改善される内容。限られた時間で新しい基準を周知徹底させなければならない。
周知は発・着荷主に元請けや利用運送も含めたアプローチが、また、改善告基準示は自動車運転者を労働者として使用する全事業者に適用されることから、白ナンバーや個人事業主に対しても不可欠であり、これらは国土交通省、経済産業省など関係省庁との連携も含めた取り組みが求められる。
さらに一般企業・消費者の理解に向けた広報・周知活動も行う。
事業用自動車運転者は他業種の労働者と比較して長時間労働の実態にあること、業務における過重な負荷による脳・心臓疾患の労災支給決定件数が最も多く、労働条件改善が喫緊課題である。荷主に対しては長時間労働改善へ荷主都合の荷待ち・荷役などその実態は認識されるが、長い商慣行から改善へといかに実行に移すかが肝要だ。一般企業・消費者に対しては、まずこうした実態を知ってもらうこと、その上で、各立場で何をするべきかという行動も含めた投げかけも重要だ。
国交省では「総合物流施策大綱」において物流の広報を重点の1つに置く。
今月11日に行われた「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で提示された一般消費者向けアンケート(今年10月実施)では、「2024年問題」を説明した後では、全体の7割弱が物流の危機に問題意識を持つと回答した。また、昨年行ったウェブによる消費者調査では、「担い手にやさしい物流」を実践する人(再配達頻度が3回に1回未満)は全体の6割と、大綱目標の8割に近い結果を得ている。
改善告示見直しの議論では、人手不足が深刻化する中で、若い人が集まる業種であることを目指すべき方向の1つに位置づけ検討が進められた。選ばれる業界となるよう、社会全体が現状を認識し、行動に移す流れにしたい。