運輸・倉庫3カ月連続改善
TDB11月景気動向、人件費・燃料費増懸念
帝国データバンク(TDB)が発表した11月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・9ポイント増の41・6と3カ月連続で改善した。コロナ禍では最も高い水準で2019年12月(42・6)以来となる。調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送は同1・3ポイント増の40・8と5カ月連続の改善となった。全体の景気DIは前月比0・5ポイント増の43・1と4カ月連続で改善した。新型コロナ第8波が全国に広がる一方で、季節需要や観光関連が上向いた。クリスマスや年末に向けた需要の高まり、建設工事関連などもプラス要因となった。今後は、海外経済の減速が懸念されるも、観光関連などサービス消費を中心に、緩やかな改善傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。観光関連の上向きや物量の増加で各分野改善も事業者からは引き続き燃料・コスト圧力への厳しい声が聞かれる。運輸・倉庫業界の各指標は仕入単価DIが70・3(前月71・7)に下げたが、依然70台の高止まりである。販売単価DIは56・3で過去最高を更新した前月56・4の横ばい。雇用過不足DIは正社員62・7(前月62・8)、非正社員58・3(前月58・4)とほぼ横ばいで人手不足感も高まっている。貨物関係の事業者からは「農産品の収穫量が増加している」(一般貨物自動車運送)、「コンテナの取扱量が増加」(港湾運送) など物量は上向くコメントの一方、「人件費増加と燃料費の高止まりで、利益率が落ちている」(特別積合せ貨物運送)など収益面では厳しい声が聞かれる。先行きも「電気代の上昇や円安が厳しい」(運輸に付帯するサービス)、「半導体不足による影響が不透明」(こん包)、さらに「2024年問題に直面し、特に人件費が企業経営を圧迫する」(一般貨物自動車運送)など懸念は払しょくされない。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは3カ月後42・0、6カ月後43・8、1年後46・4となっている。