法令遵守と働きかけを周知
国土交通省は軽貨物の個人事業主に対して行った実態調査結果を公表した。若年層ほど運行管理や日常点検の実施率は高い一方、拘束時間や休息期間が遵守できていない傾向にある。さらに54%が荷主による違反行為があると回答している。
軽貨物事故が増加傾向にあることを受け、1月に「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」を立ち上げ、17日の第2回会合で調査結果を報告した。軽貨物は個人事業者が多く実態がつかみ切れず、法令に係る情報も充分に周知されていない。3月に1万者を対象にウェブ調査を実施し、772者の回答が得られた。
運行管理は25%、定期点検は30%が実施しておらず、拘束時間、休憩期間は40%が遵守できていないとの結果だ。国交省が提案した安全講習やハンドブックの活用は6割超が前向きな反応だが、若年層ほど否定的な意見が聞かれるなど年齢層別の特性も見られた。
軽貨物は事故傾向からも他の車種に比べて20歳代の割合が大きい。対人事故や追突・出会い頭衝突、安全不確認の件数も多い。これらを踏まえ軽貨物向けマニュアルの作成や講習・適性診断・セミナーなど措置を講じる考えだ。
今回の調査により一定の状況は把握できたが、措置を講じるにも個人事業主に確実に浸透する仕組みづくりが重要だ。何より若年層の安全確保の意識を向上させる施策が急がれる。
また、調査からは1日の取扱量が「通常・閑散期は100個未満が多いが、繁忙期は200個以上の割合が急増」、平均月収は「通常・閑散期は39万円以下が8~9割だが、繁忙期は50万円以上も16%と急増」など明らかになった。
さらに平均労働時間は7~8時間が23%だが、次いで11~12時間が21%、9~10時間が18%、13~14時も14%あり、長時間労働が常態化する現場もあらためて浮き彫りとなった。
荷主の違犯原因行為との因果関係もさらに深堀する必要がある。
調査では過半数が荷主の違反原因行為があると回答しており、「相当量の荷物依頼」や「適正な運行では間に合わない到着時間指定」がその多くを占める。
国交省はこれら情報を荷主対策の「働きかけ」の参考にも活用する。現場の実態を把握し、安全への意識づけをサプライチェーン全体でしっかり共有しなければ前に進まない。法令遵守と働きかけの周知を同時進行により徹底したい。