理解・認知から行動変容へ
全日本トラック協会、国土交通省が連名で荷主企業5万社に改正改善基準告示の内容や物流の「24年問題」の理解促進を求める協力要請文書を送付した。主要な荷主団体にも同様な依頼を行っており周知徹底を図りたい。
24年問題が大きくクローズアップされ、政府が政策パッケージを取りまとめるなど、国の後押しが加速するこのタイミングにおいて、一気に荷主業界にインパクトのある発信が求められる。
荷主の協力においては、とくに荷待ち時間の削減やドライバーの手荷役作業の改善、さらに「標準的な運賃」をはじめ適正な運賃・料金収受への理解が不可欠だ。
連名文書には省庁連携による持続可能な物流の実現に向けた検討会で提示された「何も対策を講じなければ24年度には営業用トラック輸送能力の約14%が不足」との試算も記述しており、自社の荷物が運べない危機意識を発着荷主ともしっかり共有させたい。
厚生労働省が昨年12月に発足した「荷主特別対策チーム」は、長時間の荷待ちを発生させないよう発着荷主に配慮要請するものだが、4月末までで窓口に173件の情報が寄せられ、労基署が監督指導時に把握した情報と合わせ要請した事業場数は3026件ある。長時間荷待ちが引き続き発生しているのが実態だ。
24年問題そのものは各調査などからも一定程度の認知は進んでいる。改善へいかに行動に移すか、物流事業者とどう連携すべきかアクションを引き起こしたい。今般、政府が取りまとめた政策パッケージの具体策はまさしくこれを促すものである。
厚労省は昨年8月に荷主や運送事業者の相談に特化した「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」を設置し、3月末までで約300件の相談を受けた、一部事案には訪問コンサルティングも行っているという。
物流改善には予約システムの導入や納品日時の分散、リードタイム延長、パレットの活用や中継輸送の導入など様ざまな対策について物流事業者と連携していく必要性を徹底周知させたい。
行政による荷主へのアンケート調査では、バース予約システムの導入は7%にとどまる。それだけ改善余地がある一方、物流改善はまだまだ途上にある。
政策パッケージの柱の1つ「荷主・消費者の行動変容」が示すように、理解・認知から行動へと広く呼び掛けたい。