自主行動計画作成へ指針、政府が物流対策取りまとめ
商慣行見直し、次期通常国会で法制化へ
政府は「物流革新に向けた政策パッケージ」を取りまとめた。2日の関係閣僚会議で承認された。荷主、物流事業者、消費者が協力して物流を支える環境整備に向けた抜本的・総合的な対策。中長期に継続して取り組むための枠組みを次期通常国会での法制化も含め確実に整備する。斉藤鉄夫国土交通大臣は同日の定例会見で「岸田総理から次期通常国会での法制化を含め規制的措置など枠組みを確実に整備し、それに先立ち可能な取り組みから速やかに進める指示があった。荷主、物流事業者が年内を目途に自主行動計画を作成・公表いただけるようガイドラインを策定した」とし、政策パッケージを実効性あるものとして関係省庁、産業間と緊密に連携すると述べた。政策パッケージは、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容を3本柱とする具体策と、施策の効果、当面の進め方で構成する。商慣行の見直しは、①荷主・物流事業者間の物流負荷軽減に向けた規制的措置、②納品期限、物流コスト込み取引価格の見直し、③多重下請構造是正に向けた規制的措置、④荷主・元請の監視強化(トラックGメン=仮称)、⑤適正運賃収受・価格転嫁円滑化、⑥「標準的な運賃」制度の拡充・徹底の6項目を掲げた。①は荷待ちや荷役時間の削減などについて、事業規模や貨物特性などを勘案しながら事業者に計画作成や状況の報告を求め、取り組みが不十分な事業者には勧告、命令等を行う。②は3分の1ルールや短いリードタイムなど商慣行の見直し、③は元請が実運送事業者を把握できるよう台帳作成など措置を講じる。これら対策について荷主、物流事業者が取り組むべきガイドラインを国交省、経産省、農水省が策定。これに即して大手事業者が業界・分野別に自主行動計画を作成し、今年度中に前倒しに実施することを求めた。適正運賃収受では運賃・料金が消費者向け送料に適正に転嫁・反映されるべきとの観点から「送料無料」表示の見直しに取り組む。標準的な運賃制度は、荷待ち・荷役に係わる費用、燃料高騰分、下請けに発注する手数料等も含めて荷主に適正転嫁できるよう、「標準運送約款」も含め今年中に所要の見直しを図る。
24年度の輸送力不足14%をカバー
このほか具体策3本柱の物流の効率化では、バース予約システムなど即効性ある設備投資の促進や物流GX、物流DXなど13項目を掲げ、高速道路のトラック速度規制(時速80㌔)の引上げも盛り込んだ。荷主・消費者の行動変容では荷主の経営者層の意識を促す規制的措置の導入や再配達削減への施策など5項目を掲げた。施策の効果(24年分)は下図の通り。達成率は荷待ち・荷役は3割、積載効率は2割の事業者が各2時間、50%に改善すると想定。これにより24年度に不足するとされる輸送力14%をカバーする。30年度に向けた中長期計画も年内に策定する。