物流改善が大きく前進
2040年の物流の将来像「フィジカルインターネット・ロードマップ」を着実に進めるため、国はロードマップに示した施策の進捗管理、検証を進めている。地域レベルでの議論に落とし込むほか、業種・業界別のワーキンググループ(WG)では新たに化学品WGの設置も決まり取り組みが広がっている。
昨年3月に策定されたロードマップは、ガバナンス、物流・商流データプラットフォーム、水平連携(標準化・シェアリング)、垂直統合(BtоBtоCのSCM)、物流拠点(自動化・機械化)、輸送機器(同)の6項目の計画について40年まで時系列でまとめている。有識者、業界関係者で構成する「フィジカルインターネット実現会議」を年1回行い、13日の会議で進捗の確認と意見交換を行った。
業種・業界別では3つのWGがアクションプランに沿って実行に移している。例えばスーパーマーケット(加工食品・日用雑貨)は物流コストを上下させる価格体系「メニュープライシング」の導入、百貨店は開店前納品の是正について、それぞれ卸・小売り間で具体的な検討を進めている。建材・住宅資材も納品条件の見直し・透明化など、発・着荷主が主体的に取引慣行の見直しに動いている。
化学品WGには大手化学メーカーが名を連ね、物流事業者も加わり既に44社が参加を表明している。商慣行の改革、ホワイト物流、安全、標準化やDXなどテーマを想定し年度内にもアクションプランを策定する。化学品物流はこれまでも様ざまな改善事例がみられるが、あらためて業界内の物流、発・着荷主事業者が検討の場を持つことでさらに一致協力した取り組みを促したい。
また、このWG発足にあたっては「各社のサプライチェーン改革とBCP等付加価値創出にも繋げること」を目的の1つに置く。物流改善は荷主企業も自社の経営改革の大きな柱となっていることがより鮮明となってきた。
一方、地域レベルにおいては、とくに物流課題が顕著である北海道で、幅広い荷主・物流事業者間で情報・意見交換を行う懇談会を7月に開催するほか、全国各地域でそれぞれの物流課題に即した具体的な実証も検討中という。
地域の物流課題を可視化することで共通する対策、成果など横展開も期待できる。
総論賛成から各論となると前に進まなかった物流課題。改善の余地は大きい。