地域・業種別議論を深化

フィジカルインターネット実現会議

経済産業省、国土交通省は2040年を目標とした物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット・ロードマップ」(2022年3月策定)の推進へ地域別、業種・業界別の議論を深める。各地域の物流課題に即した検証を進め、7月には北海道を対象とした懇談会を行う。業界別ワーキンググループ(WG)では新たに化学品WGを設置し、年度内にアクションプランを取りまとめる。フィジカルインターネット・ロードマップの着実な推進へ進捗管理・検証を進めており、13日に開いた有識者、業界団体関係者などによる「2023年度フィジカルインターネット実現会議」で進捗を確認した。ロードマップで示す6項目のうち、水平連携に関しては地域レベルの取り組みが重要との指摘から、とくに物流課題が顕著とされる北海道を対象に、幅広い荷主・物流事業者間で情報・意見交換を促す「地域フィジカルインターネット懇談会」を7月28日に道内で開催する。地域物流の課題や協調の可能性を探るための実態調査も行う。全国各地域でそれぞれの物流課題に即した具体的な実証も検討中で、「大雪等の災害に予め備えた発注改善の取り組み」、「地域の主たる小売チェーンのセンター在庫の仮想的な共有」などを実証テーマ例に挙げた。垂直統合ではスーパーマーケット等、百貨店、建材・住宅設備の3つの業界別WGが30年に向けたアクションプランを策定し、昨年度から基本的な項目の標準化やルール化に向けた議論を進めている。このうちスーパーマーケット等(加工食品・日用雑貨)では、基準となる物流サービス水準を明確化し、そこから物流サービスの高低に応じて物流コスト分を上下させる価格体系(メニュープライシング)の導入について検討に入っている。建材・住宅設備では日本建材・住宅設備産業協会が主体となり、運送事業者に過度な負担がかかる原因となる納品条件の見直し・透明化を図る。キッチン・バス工業会が昨年6月に策定したガイドラインを水平展開する。 百貨店でも日本百貨店協会の協力により開店前納品の商慣行是正へ大きく動き出している。このほか準備を進めてきた化学品WGの設置が同日の会議で承認された。化学品物流は貨物の物性・梱包・重量など特殊なものが多く、輸送方法・条件も多岐にわたり個社単位では効果的な施策を打つことが難しい。9日時点でメーカー、物流事業者など44社、1大学が参加を表明している。7月以降、会議を毎月1回程度開催する予定。化学品のサプライチェーンを支える持続可能な物流(安定・安全・カーボンニュートラル・効率化)の実現へ、商慣行の改革、標準化、デジタル化などアクションプランを年度内にも策定する。同会議では引き続き業界団体など申出があった場合はロードマップを踏まえた業種業界別のアクションプランの作成を目的とするWGを設置する考えである。