上半期トラック倒産3年連続増加

過去10年2番目高水準

トラック運送業の2023年上半期(1―6月期)倒産は「物価高」、人手不足関連倒産が急増し、上半期としては3年連続で前年同期を上回った。東京商工リサーチ(TSR)が10日まとめた「道路貨物運送業の倒産」(負債額1千万円以上/法的倒産と私的倒産を含む)上半期集計によると、件数は136件(前年同期比19・2%増/前年同期114件)で、14年以降の10年間では14年の175件に次ぐ高水準だった。TSRによると、負債総額は184億1900万円(前年同期比9・2%増)と増加。負債10億円以上の大型倒産は1件(同2件)と減少したが、中小規模の倒産増加が負債総額を押し上げた。燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は46件(同29件)で約1・6倍だ。2021年以降、コロナ拡大やロシアのウクライナ侵攻などで軽油価格が高騰、軽油価格は7月10日時点で153・0円/㍑と高水準を推移し、「物価高」倒産は引き続き増勢が続くとみられる。物価高で疲弊する中小企業が多いなか、「人手不足」も追い打ちをかける。「人手不足」関 連倒産は20件(同13件)で前年の1・5倍超となった。内訳は、「後継者難」は4件 (同9件)に減少したが、「求人難」が10件(同4件)、「人件費高騰」が6件(同ゼロ)と大幅に増加した。もともとの人手不足に加え、23年から適用された月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げなどにより人件費が上昇。こうした様ざまなコストアップに対する「運賃への価格転嫁」への取り組みも、企業体力の乏しい中小・零細企業では耐え切れず事業継続を断念するケースが増加している。トラック運送事業を取り巻く事業環境は、ドライバーの時間外労働の上限規制が強まる「2024年問題」が差し迫っている中で、「人手不足を時間外労働で補う中小・零細企業では抜本的な対策がいまだ進んでいない」(業界関係者)ことから、一段と厳しさを増している。TSRでは、今後も「(道路貨物運送業の)企業倒産は増加する可能性が高い」(情報本部)とみている。