「トラックGメン」が始動
162人体制で業務遂行
政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、適正な取引を阻害する疑いのある発着荷主・元請事業者の監視を強化するため、国土交通省は21日付でトラック荷主特別対策室(通商トラックGメン)を創設した。新たに80人を緊急に増員し、既定定員82人とあわせ合計162人の体制で業務を遂行する。小熊弘明自動車局貨物課長が荷主特別対策室長に着任した。国交省では、適正な取引を阻害する行為を是正するため、貨物自動車運送事業法の「荷主対策の深度化」により、荷主・元請事業者への「働きかけ」(6月末累計84件)、「要請」(同4件)などを行ってきた。
しかしながら依然として荷主等に起因する長時間の荷待ちや、運賃・料金の不当な据え置きなどが十分に解消されていない。さらに2024年問題に直面し強力な対応が必要なことから、新たに「トラックGメン」を創設した。緊急に体制を整備しトラック事業者へのプッシュ型の情報収集を開始し、適用期限が延長された「荷主対策の深度化」による執行力を強化する。調査結果を「働きかけ」や「要請」等に活用し、実効性を確保する。人員体制では既存定員との併任等82人は本省13人、地方運輸局等16人、運輸支局等53人。緊急増員80人は本省2人、地方運輸局等19人、運輸支局等59人。国交省では荷主所管の経済産業省、農林水産省や、中小企業庁、公正取引委員会、厚生労働省の関係省庁と連携しながら、トラック事業者からの情報収集をもとに調査を行い、必要であれば荷主、元請事業者に対し貨物自動車運送事業法に基づき是正措置を行う。斉藤鉄夫国交大臣は18日の閣議後の会見で「執行力を強化することで荷主側の事情による長時間の荷待ちや、運賃・料金の不当な据置きなどの是正へ一層強力に取り組む。関係省庁・産業界と緊密に連携し、トラックドライバーの労働条件の改善と取引環境の適正化に向けた取り組みを進める」との決意を述べた。
荷主特別対策室長に小熊課長
21日には「トラックGメン」に対する辞令交付式が本省、各運輸局などで行われた。本省では関東運輸局、東京運輸支局あわせ20人の受領者が出席し鶴田浩久自動車局長が辞令交付を行った。鶴田局長は「皆さんにはトラック事業者からのヒアリング等を通じた情報収集に積極的に努めていただき、情報に基づき荷主・元請事業者に是正措置に取り組んでいただく。皆さんの働きで制度の実効性を高め、ドライバーの労働条件の改善と取引環境の適正化、持続可能な物流の実現へ一層強力に取り組んでいただきたい。奮闘を期待している」と訓示した。トラック荷主特別対策室長の任命を受けた小熊弘明貨物課長は「トラック事業者の皆様に寄り添い、その声を丁寧に聞き取るとともに、適正な取引を阻害する疑いのある荷主や元請事業者には働きかけや要請を集中的に行い、理解と協力を粘り強く求める。トラック運送業をより働きやすく、働きがいのある環境とすべく全力で取り組む」と決意表明した。