食品流通で物流改善事業者公表 流通経済研究所
リードタイム見直しや休配日設定
食品流通業界で商慣習の見直しを進める事業者が引き続き増加していることが流通経済研究所の調査で明らかになった。食品ロス削減に向け、納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化が進むほか、物流改善を行う食品メーカー194社、小売事業者160社も新たに公表した。流通経済研究所は2012年から食品メーカー、卸売業者、小売事業者などによる「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」でサプライチェーン上の商慣習の見直しを進めてきた。毎年10月の食品ロス削減月間に合わせ、納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化などを実施する事業者を調査、公表している。食品ロスの是正は人手不足が深刻化する物流現場の労働環境改善にもつながるものだ。最新調査では、10 月末時点で納品期限を緩和する小売事業者(予定含む)は前年比57社増の297社、賞味期限表示の大括り化を実施する食品メーカーは51 社増の318社と引き続き増加傾向にある。また昨年から調査した賞味期限の延長に取り組む食品メーカーは87社増の269社。今年度からは物流の改善、販売期限の延長に取り組む事業者もそれぞれ調査、公表した。24年問題を控え効率的で持続可能な物流への転換が急務とし、取引慣行の見直しに注目、受発注リードタイムの見直しや休配日の設定などに取り組む事業者を公表した。具体的には、食品メーカーは取引先への納品期限緩和の提案、取引先からの受注日の翌々日納品、休配日の設定。小売事業者は常温加工食品で納品日の前々日発注、休配日設定、日配品では取引先に対する納品期限緩和、発注日の翌々日納品、休配日の設定。いずれかの項目を実施する事業者。食品メーカーは194社、小売事業者は常温加工食品102社、日配品58社(重複あり)だった。このうちメーカーで翌々日納品を実施しているのは78社、休配日の設定は41社。小売りは休配日設定43社、常温加工食品の前々日発注41社、日配品の翌々日納品16社だった。販売期限の延長については小売事業者237社が行っている。今後は調査結果を広く消費者にも周知していく。