荷主・消費者へ理解深める、物流連真貝会長
スピード感持って課題解決――モーダルシフト推進
日本物流団体連合会(物流連)の真貝康一会長は21日の理事会後の記者会見で、24年問題の解決へ「人材確保や標準化の推進など、荷主、消費者にも理解を得られるよう国とも連携して進めたい」とし、あらためて広報活動に注力する考えを述べた。国が解決策の1つに掲げたモーダルシフトも「一朝一夕ではできない。関係者で意思統一し、スピード感を持って取り組むことが重要」との見解を示した。政府の物流革新緊急パッケージにはモーダルシフトの推進で、鉄道、内航海運の輸送量・分担率を10年程度で倍増する方針を示し、補正予算案にも反映させている。真貝会長は「モーダルシフトはこれまでも進められてきたが、どこにどう働きかけるか荷主からは分かりにくいところもある。物流の関係者で課題をともに解決するようスピード感を持って進めれば、結果として短期的な効果も得られる」とし、物流連としては引き続き関係者への広報活動に力を入れる考え。24年問題で物流への関心は高まるが、広報活動面では「まだまだ進んでいない。これまで行っていなかった意見広告等を検討中であるほか、物流に関するシンポジウムを開催、発信するなど物流全体の課題を示し理解をいただく活動を今年度、来年度と進めていきたい」と述べた。喫緊の対策の一方、「人口の減少に、働き方の意識や価値観も変化している。24年問題を契機にそうした環境が変わってきていることにも理解をいただきたい」とし、長期的な課題ととらえ物流連としてもこれからの物流のあるべき姿を追求する方向を示した。
●物流見学ネットワークを再開
物流連は同日、今年度モーダルシフト取り組み優良事業者表彰式を行い、理事会では4-10月の活動を報告した。事業報告では柱である「物流業界を等身大で見て頂くための施策」でインターンシップや寄付講座、セミナー講師派遣を行ったほか、コロナ禍で休止していた物流見学ネットワークを9月末から再開(掲載施設数56カ所)した。この間、大学生へのアプローチが中心だったが、同ネットワークは小・中学生から学校関係者に広く物流業への認識を深めてもらうため物流施設の見学会を斡旋・紹介するもの。「コロナ禍も問い合わせが多くネットワークを充実させる。若いうちから物流に目を向けてもらうことが重要でさらに知恵を絞っていきたい」(長谷川伸一理事長)。