協業、共創の動きが加速
物流各社の2023度決算は、上場、業績公表企業85社のうち減収が46社と過半数が前年の売り上げ実績を下回った。消費低迷などによる取扱い個数の減少傾向が想定以上であり、期中の業績下方修正も相次いだ。
物量の減少傾向は、今上期も厳しい見方をするところが多いが、下期には回復し通年で業績改善を見込んでいる。24年度の業績予想では83社中69社と8割超が増収予想を立てている。
適正運賃・料金収受が進捗し、価格転嫁率は低位ながらも取引適正化の動きの中で着実に進展するとみられる。一方で物量は、個人消費そのものは上向く材料が多いが、グローバル市場も含め経済の停滞感が続くと先行き不透明だ。
物量は期を追うごとに減少幅が緩和するとの声も聞かれるが、全日本トラック協会が発表した1-3月期「トラック運送業界の景況感」によると、判断指数は10-12月期よりも悪化した。改善予想だったがやはり物量の動きが想定より鈍化したようだ。運賃・料金水準は改善基調を維持したが、輸送数量が悪化し水準を下げた。4-6月期も輸送数量の減少が継続して悪化を見込んでいる。
全ト協の景況感判断指数では大規模事業者は微減、4-6月期は横ばい見通しだが、中・小規模事業者は実績、見通しとも悪化している。
こうした中で、23年度決算の増収企業39社のうち、24社が過去最高を更新した。利益も営業利益増益企業28社では13社が過去最高益となった。
消費低迷による需要減退に、燃料をはじめとするコスト高、さらに2024年問題への対応と厳しい経営環境が続く中でも、コスト適正化の追求、適正運賃収受の取り組み、付加価値提案、新規領域獲得による拡販、さらにはM&Aなど攻めの経営で事業拡大を実現させる動きも鮮明だ。
24年度は〝物流革新元年〟で国の規制的措置など様ざまな動きが見られるほか、企業経営もAZ丸和HDによるC&FロジHDへのTОB提案、ロジスティードによるアルプス物流のTОB、また、日本郵便とセイノーHDの幹線輸送における業務提携など物流大手のM&A、連携による協業の動きも活発だ。
24年度業績改善の押し上げ要因には、こうしたM&Aや企業間の協業による収益貢献も織り込まれる。24年問題対策にとどまらず、各社の成長戦略において協業、共創の動きが強まりそうだ。