転嫁遅れも環境は改善
トラック運送業界は適正運賃・料金収受に向けた取り組みは進むものの、コスト上昇に対して転嫁が追い付かない状況が続いている。
全日本トラック協会の4-6月期「トラック運送業界の景況感」によると、景況感の判断指数はマイナス31・4、前回(1-3月期)から5・3ポイント悪化した。運賃・料金水準は改善基調にあるが、燃料高・物価高などコスト上昇に対する転嫁が遅れている。
運賃・料金水準の動向をみると、一般貨物は2022年10-12月期から指数はプラスに転じ、今4-6月期は微増だが41・0と高い水準にある。特積貨物も23年4-6月期から指数はプラス圏内であり、今4-6月期は18・2と2カ月連続で上昇している。
全ト協と日貨協連がとりまとめる「WebKIT成約運賃指数」をみると、直近の7月は前月比3ポイント増、前年同月比では9ポイント増の「131」である。対前年同月比では37カ月連続のプラスで、7月の「131」は過去最高水準であり、上昇基調を維持する。
それでも景況感が悪化しているのは、燃料高・物価高が続き先行きも不透明であるからだ。中小零細事業者ほど収益を圧迫する。そして荷動きの停滞感もある。
輸送数量をみると、一般貨物は22年1-3月期にプラスに転じたが、以降マイナス圏内であり、特積貨物は23年1-3月期からマイナス圏内、いずれも期により上下するがプラスに浮上してない。こうした中、景況感の判断指数は7-9月期も低下し、マイナス41・3と3四半期連続で悪化予想だ。
一方で全ト協の景況感調査をみると、所定外労働時間の指数が24年1-3月期から減少傾向にある。
指数は1-3月期マイナス36・2(一般マイナス37・6、特積マイナス65・2)に対し、4-6月期はマイナス46・6(一般マイナス47・2、特積マイナス63・6)、7-9月期予想はマイナス49・3(一般マイナス49・5、特積マイナス69・7)と減少見通しだ。
時間外労働上限規制が適用され、「2024年問題」に対応した取り組みが数字に表れ、減少基調となっている。
適正運賃・料金収受とともに、24年問題に対応した労働時間管理の徹底と、労働環境改善に向けた企業の取り組みは着実に成果となっている。厳しい経営環境は続くが、急務である働きやすい環境整備へ取り組みをしっかりと継続したい。