トラック運賃適正化の好機

4~6月のトラック運賃・料金水準が急上昇する見通しだ。日通総合研究所が3月に実施した「企業物流短期動向調査」(速報値)で、荷主企業の物流担当者は、運賃・料金水準の動向指数(DI)が1~3月実績の2倍以上となる11を予想している。

日通総研では、運賃・料金水準が上昇する背景として、燃料価格の値上がり傾向やドライバー不足、ヤマト運輸の運賃交渉などを織り込み、荷主に値上げを求めるトラック運送事業者が増えていることなど「ヤマトショック」の影響を指摘する。
さらに、4~6月の国内向け出荷量の荷動き指数は1~3月実績のマイナス4から2?改善してマイナス2と、マイナスながらゼロ近くまで回復する見通しとなった。このことも運賃・料金の値上げ交渉の環境を整えた。

1~3月期実績の業種別「荷動き指数」は、金属製品、精密機械、化学・プラスチック、電気機械、鉄鋼・非鉄の5業種がプラスで、残り10業種がマイナスになった。前期(16年10~12月)実績と大きな変化はみられなかった。

一方、4~6月見通しは11業種で改善の動きがみられ、プラス業種は食料品・飲料、パルプ・紙、一般機械がマイナスからプラスに転じ、電気機械がプラスからマイナスになるものの、プラスの業種は7業種に拡大する。

企業短期動向調査が実施された3月上旬は、ヤマト運輸が27年ぶりの「基本運賃」値上げ方針を決め、マスコミを賑わしている時期でもあり、荷主企業に値上げ圧力がかかっていたと考えられる。

トラック運賃の上昇基調は鮮明になっているといえる。

例えば、トラック運送業界でトラックと荷物のマッチングを図る求荷求車ネットワーク「WebKIT」の2月の成約運賃指数は前年同月比1?増の114となり、昨年4月以来10カ月ぶりに前年同月を上回った。前月(1月)との比較でも1?上回っており、2月としては調査開始以来3番目に高い数値を示し高水準での推移を裏付けた。

また、2月の「求車登録件数」は前年同月比14・5%増の9万2461件と大幅に伸びており、ドライバーなど人手不足とともに、求車需要が高い状況が続いている。

家庭用紙製品の大手「王子ネピア」は5月1日から全商品を10%以上値上げする。主要な要因にドライバー不足に伴う「物流費の高騰」をあげている。

今をおいてトラック運賃を適正化するチャンスはない。