中小の働き方改革後押し
厚生労働省がトラック運送業の改善基準告示の周知や、長時間の荷待ち解消へ荷主に配慮要請する措置を講じる。改善告示の見直しを議論する専門委員会で対応案として提示。情報収集する目安箱を厚労省HPに開設するなど、より踏み込んだ対応をとる。
厚労省はポータルサイトによる情報発信をはじめ、運送事業者、荷主、一般も含め、意見収集やマッチング機会の提供など、トラック運転者の長時間労働是正へ社会全体でその機運を高めるべく施策を進めている。
〝2024年問題〟への対応が急がれる中、これまでの荷主都合による商慣習を変えなければ前に進まないという改善告示見直しの議論を通じ、今般具体案を示したもの。
荷主に直接的な監督指導はできないが、労働時間等設定改善法で、短納期発注や発注内容の頻繁な変更など、取引上必要な配慮の努力義務が例示されており、トラックの長時間労働是正への協力がなければ荷主も厳しい状況になるという周知を徹底していく構えだ。
具体的には労働基準監督署が発着荷主企業に配慮要請するもので、対象企業は運送業者への立入調査時の情報や目安箱への情報などから選定するという。
関係省庁・団体とも連携しながら、広く社会全体へのアプローチも並行して行う。〝2024年問題〟は、とりわけ中小零細事業者の経営に重くのしかかる。こうした行政の措置は働き方改革を進めるにあたっての大きな後押しになる。
厚労省のこれら情報収集は国土交通省への情報提供、荷主対策における「働きかけ」とも連携する。
改正貨物事業法における荷主関連の施策は施行から7月で3年を迎える。国交省によると、これまでの働きかけにおける違反原因行為のうち、ほぼ半数が長時間の荷待ちである。地方適正化事業実施機関の巡回指導時でも荷主の情報収集を呼び掛けており、働きかけのさらなる推進を図る。
荷主の情報収集については国交省がHPに意見等の募集窓口を設置しているが、燃料高騰による価格転嫁対策を省庁連携により進める中で、公正取引委員会や中小企業庁のHPにも違反行為情報提供フォームが設置されており、より広範から情報を得ていく体制をつくっている。
トラック運送事業者は、これらを活用して情報提供に努める必要がある。行政においても労働環境の改善、そのための商慣習を変えるべく、より実効性のある省庁連携が求められる。