協同組合の活性化期待
トラック運送事業協同組合のナショナルセンターである、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連/吉野雅山会長)が5日、広島市で第55回通常総会と第15回全国大会を開き、令和元年度(2019年度)の事業計画などを決めるとともに、全国から集った500人の関係者が交流した。
2年前、古屋芳彦前会長からバトンタッチした吉野会長は総会後の全国大会であいさつし、「協同組合は、一人でできないことを仲間で解決しようという相互扶助の精神で作られたはずだ。その原点に立って皆さんの経営に資し、コスト低減につなげるべく、皆さんの力で盛り立てる日貨協連を作り上げたい」と一致結束を求めた。
トラック運送業界をめぐる環境は大きく変化している。昨年6月、「働き方改革関連法」が成立し、12月には議員立法により「貨物自動車運送事業法」の一部改正がされ、業界として健全な発展が求められている。
業界内では、「魅力ある職場とし、安定的に人材を確保していくためには、長時間労働の是正等の労働環境の改善と、賃金水準の改善は必要不可欠で、国や荷主の協力を得ながら運賃交渉なども進めていかなければならない」というのが一般的な認識だという。
こうした変革期の中で、吉野体制が2期目がスタートした。組織見直しや情報発信、経済事業の活性化に取り組んできており今回、その成果を確認し、次のステージを目指す。
経済事業の取り組みでは、保険事業で保険料の引き下げや補償内容の大幅な拡充など、見直し・再構築を行う。斡旋事業は新たな個別事業として、AIロボット点呼機器(ペッパー、ユニボ)の販売を行う。
わずか2年前、「AI、IoTなど世の中は第4次産業革命が起きている」と言われたが、AIやIoT活用は「大企業はできるだろうが、中小企業はどのように解決していくのか」と、当時はまだ身近な課題ではなかった。
KIT事業は、生産性向上への対応が迫られる状況の中で、バージョンアップしたWebKIT2へのスムーズな移行に向けた諸対策を進めて、ネットワーク基盤の強化を図る。
組織については、役員体制で副会長を3人増員し正副会長は11人に、事務局体制も強化する。
トラックドライバー研修テキストやWebKIT2の供用、各種保険の販売強化と一部商品の見直し、点呼支援ロボットの販売開始などの業務量増大に対応するためだ。
相互扶助をめざす、協同組合の活性化に期待したい。