域内で効率化機運醸成を
北海道の物流課題解決に向け、異業種による共同輸配送がクローズアップされる。北海道経済産業局が関係機関と連携し、今年度、事業者間のマッチングを行い、道内における共同輸配送の機運醸成・普及啓発を図る。
2024年問題に直面する中で北海道は移動距離が長く物流課題がより顕著だ。営業用トラックの積載率は35%で全国(39%)より低い。地域経済を支えるべく、強力な物流効率化策が急務である。
課題解決には荷主の理解、協力が不可欠だ。物が運べない危機感は荷主にとっても深刻度は増す。荷主を所管する地域の経済産業局が関係機関と連携することで取り組みの実効性は高まる。
昨年7月、今年2月に北海道地域フィジカルインターネット懇談会が開かれたほか、今年2月には国交省ほか関係機関と連携し、「北海道物流WEEK」を行い、この間も機運醸成を図ってきた。
調査によると、何も対策を打たない〝成行シナリオ〟では道内で25年13%、30年27%の荷物が運べなくなるが、共同輸配送が普及する〝共配シナリオ〟では回避できる。長距離便帰り荷の共同輸配送など異業種連携の浸透で30年に積載率50%まで向上させればドライバー不足はほぼ解消すると推計する。
実現には事業者の積極的な参加が肝要だ。調査ではインパクトの大きい「長距離便の帰り荷マッチング」は、その他の共同輸配送に対し、実施率が最も低い。物流課題解決に関心を寄せる荷主企業の約8割は共同輸配送を実施または検討しているが、同業者間の連携に留まる例が多い。同業者は関係団体など繋がりがあるが、接点のない異業種間は機会がなければ話は進まない。
北海道経済産業局では国交省、自治体とも連携しながら、幅広い業種の荷主と物流事業者を公募し、ワークショップを想定したマッチングイベントを計画している。
さらに共同輸配送や商慣習見直しなど事例集を作成・公表しており、道内企業の取り組みを見える化し、物流効率化を後押しする。
荷主側も企業や業界団体が主体的に物流改革に踏み込んでいく動きにあるのは確かだ。
改正物流効率化法では、取り組むべき努力義務を課し、国が判断基準を策定する。一定規模以上の事業者には規制的措置を講じる。法施行に向けた好機でもあり効果的な発信、普及啓発活動が期待される。