過労死防止へ業務平準化も
政府は6日、過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止対策白書」(過労死白書/2017年版)を閣議決定した。昨年に続いて2度目となる白書は、人手不足が深刻な運送業に焦点を当て、他の業種に比べて残業が多く、過労死を招きやすい実態を報告している。
運送業や自動車運転従事者へのアンケート調査結果では、所定外労働(早出・居残り等の残業)が発生する理由を運転従事者に聞くと「人員が足りない」(27%)、「所定外がないとできない仕事がある」(24・6%)、「予定外の仕事が突発的に発生する」(23・8%)との回答が多かった。
一方、企業に「業務量に比べた人員不足感」を聞くと、「自動車運転従事者の不足」との回答は55・1%で、「配車係」(16・7%)、「運行管理者」(12・2%)、「その他事務職員」(13・2%)はそれぞれ10%台と不足感は低かった。
また、自動車運転従事者の深夜勤務回数が多かった月は、12月が最も多かった。トラック運転者も「12月」の割合は47・2%と高く、「11月」の10・7%、「3月」の7・5%と続く。休日出勤の回数は、トラック運転者が「12月」とした割合が38・6%と最も多い。「3月」の9・8%がこれに続いている。
これらの調査結果から白書は、「12月の休日労働、深夜勤務の削減を行うなど、繁閑の差を緩和することが過労死等の防止に有効と考えられる」と提言した。
また、トラック企業(回答数547社)に、取引慣行として荷主から要請される事項などを聞くと、「荷主都合の出入荷で手待ち時間が発生する」が55・6%と最も多かったほか、「契約外の荷役作業を要請される」(14・1%)や「契約外の検品・商品の仕分け等の附帯作業を要請される」(11・7%)、「契約以外の付加的な運送を要請される」(7・3%)など「契約外の作業」に関する回答が多かった。
これら「過労死等をめぐる調査・分析結果」から、トラック運転者の時間外労働削減のためには、引き続き、トラック運送事業者、荷主、行政が一体となり、取引環境の改善を図るための取り組み強化が必要であることが浮き彫りとなった。
2016年度の脳・心臓疾患による労災認定件数で、道路貨物運送業は前年度の82件から89件へと7件増加し、8年連続ワースト1だ。
行政と業界には、長時間労働の是正等に関する目標および取り組む事項など、働き方改革の実現に向けたアクションプランの策定が急がれている。