「トラックの日」と安全対策

今年もこの週末、「トラックの日」を迎えた。

全日本トラック協会では、多くの人にトラック運送業について知ってもらうため、10月9日を「トラックの日」と制定し、全国各地で様々なイベントを開催している。

全国統一の標語は「トラックは生活(くらし)と経済のライフライン」だ。

とくに最近の東日本大震災や熊本地震など、大規模な災害発生時には、救援物資を続々と届けるトラックの姿がメディアにも取り上げられ、まさに「ライフライン」としての重要性が多くの国民に認識されつつある。

営業用トラックが第一当事者となった死亡事故の件数は、今年1~8月の累計で174件となり、前年同期比12.6%減と大きく減少している。各事業者レベルで安全対策への取り組みが進んでいることの証左であろうが、トラックの事故は、ひとたび起きれば大事故になる可能性が高く、油断は大敵だ。

つい先日も愛知県内の新東名高速で、路肩に停車していた高速乗合バスに大型トラックが追突し、バス運転者2人が死亡する事故が起き、国土交通省が全ト協などに、高速道路での安全確保に万全を期すよう文書で要請したばかりだ。

毎年、「トラックの日」にあわせて、全国トラック運送事業者大会が各ブロックの持ち回りで開かれている。今年は、中国ブロックの担当となり、6日、鳥取県米子市で1200人を集めて盛大に開催された。

大会では、交通事故防止や環境保全に率先して取り組み、社会との共生を図りながら、諸課題に果敢に対応していくとして、9項目からなる大会決議を採択した。

具体的なテーマに沿って、各事業者が取り組みを発表する分科会では、交通安全対策と人材確保・育成がテーマに設定され、パネリストとなった各事業者が自社の取り組みを披露した。

とくに安全対策については、「輪止めを自社のイメージカラーに塗装して啓蒙」といった地味ながらユニークな取り組みや、社内に「大学」を開校して新卒社員を教育している取り組みなどが紹介された。また、24時間体制のドライバーサポートセンターを開設し、悩みや要望を聞くことで社内の雰囲気をよくしている取り組みも聞かれた。

その経営者の「事故防止にゴールはない。地道な取り組みを愚直に継続することが大切。社長の気持ちが伝われば、社員の安全意識も高まる」と話していた言葉が印象的だった。