「環境」てこに事故防止も

6月は「環境月間」だ。1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、国連では、日本の提案を受けて6月5日を「世界環境デー」、日本では環境基本法で「環境の日」と定めている。

さらに91年からは6月の1カ月間を「環境月間」と定め、政府や地方公共団体などが中心となり、全国で様々なイベントが行われてきた。

トラック運送業界は当時、大気汚染問題への対策が急務だったことから、2001年に業界の環境対策の基本指針となる「環境基本行動計画」を策定した。06年に策定した環境対策中期計画では、大気汚染防止、CO2排出抑制に向けた数値目標を掲げ、エコドライブの推進、車両代替などに取り組み、10年にCO2削減量は目標値を達成した。

12年度に陸・海・空の物流企業で横断的に組織する日本物流団体連合会(物流連)が環境保全活動や環境啓蒙活動などの面で優れた功績を残した団体、企業・個人を表彰する、「物流環境大賞」を制定した。今年で19回目となる。

「大賞」の受賞は、コカ・コーラボトラーズジャパン、センコー、九州センコーロジの3社連名「飲料の九州‐関西間幹線トラック輸送の鉄道輸送へのモーダルシフト」が選ばれた。

6月は物流が注目される「環境月間」だ。

業界では今、トラックから鉄道や内航船・フェリーに切り替える、モーダルシフトが進展している。

トラックに比べ一度に大量の輸送が可能でCO2排出量も削減できること、ドライバー不足や長距離運転による長時間労働などが社会問題化したこと、国が荷主・物流事業者を中心とする多様・広範な関係者の連携を推進していること――などが背景にある。

トラック業界では、鉄道輸送を推進している。西濃運輸は5月、同社としては初めてとなる専用列車を大阪(吹田)―福島(郡山)・宮城(仙台)間で、運行開始した。大型トラック60台分の輸送量だ。

日本通運は4月から、国内ビール4社が実施する関西・中国‐九州間の共同モーダルシフトで、専用列車と空きコンテナの輸送枠を活用してサポートしている。4社合計で大型トラック2400台相当の長距離輸送能力を鉄道コンテナで確保する。 トラック運送業界は10の環境対策に取り組んでいる。そのひとつ「エコドライブ」の普及促進は、環境対策の基本となる重要な取り組みだ。

「環境」をてこに、事故防止、経営コスト削減にも期待したい。