〝持続可能〟への総仕上げ

全日本トラック協会は、トラック運送事業の許可更新制度、適正運賃の収受、下請構造の適正化、白トラ利用に係る荷主への是正指導を4本柱とした、貨物法の一部改正と、適正競争推進特別措置法(仮称)の法案について、議員立法による今国会での成立へ働きかけている。先ごろ自民党トラック議連、公明党トラック議員懇話会に提示し、協力を要請した。
4本柱の中でも事業許可の更新制は大きなインパクトを与える。貸切バスが5年の有効期間で運用しており、全ト協の素案も5年間の有効期間を設定した。
貨物法改正をめぐっては、1990年の改正でトラック運送事業の新規参入が免許制から許可制に、運賃が認可制から届出制となった。全ト協の坂本克己会長はこの規制緩和が過当競争を招き「悪貨が良貨を駆逐することを何とかしなければならない」と法改正の趣旨を強く訴えている。
18年の貨物法改正では「標準的な運賃」、「荷主対策の深度化」の措置が規定され、当初23年度末までの時限措置が「当分の間」に延長、荷主対策ではトラック・物流Gメンへの体制拡充が図られている。
この18年の法改正では、トラック運送事業者に対しても、欠格期間の延長、許可の際の事業の明確化といった「規制の適正化」や「事業者が遵守すべき事項の明確化」が規定されたが、さらに踏み込んだ厳格化を求め、今回の法改正への動きとなっている。
坂本会長は許可更新制の導入について「仲間を撃ち、血を流すようなもの。本来はこんなことはしたくないが、そうせざるを得ない」と苦渋の決断であると打ち明ける。真面目な事業者、現場のドライバーが仕事に自信と誇りを持てる環境をつくる。18年の法改正、昨年の物流2法改正をホップ、ステップと称し「今回は総仕上げのジャンプ」との強い覚悟で臨む。
許可更新制のほか、下請構造の適正化では、全ト協が昨年、2次下請けまで制限する提言を取りまとめ、国の多重下請構造検討会においても論点整理が行われ、是正への動きが進捗している。
白トラの利用については、国土交通省の是正指導の対象となる違反原因行為への追加を提示しており、まず詳細な実態把握が求められる。
これら適正化措置が経済と国民生活を支える物流の持続可能性を確かなものにする。業界が一枚岩になるとともに、行政も省庁間で問題意識を共有し早期に実現したい。