〝持続可能〟へ行動に移す
昨年9月から11回にわたり行われた「持続可能な物流の実現に向けた検討会」が16日の会合で終了した。この間も取り巻く環境は大きく変化し、2024年問題が深刻化する中で政府が政策パッケージを定め、様ざまな措置が講じられる。荷主、物流事業者ともに現状認識を深め、行動に移していきたい。
物流全体の有識者会議では「フィジカルインターネット実現会議」において2040年を目標としたあるべき将来像を検討する一方、「持続可能な検討会」は直面する課題解決について議論してきた。2月には中間とりまとめを行い広く方向性を示した。何も対策を講じなければ不足する輸送能力の試算などは大きなインパクトを与えた。
16日の会合では事務局が提示した最終とりまとめ案が概ね承認され、パブリックコメントを経て最終報告書として公表する。委員の意見、指摘は相次ぎ終始活発な議論が交わされた。
政府の政策パッケージで掲げられた規制的措置などは同検討会で議論を重ねてきた。政策パッケージでは、荷主、物流事業者による自主行動計画の策定や、荷待ち・荷役時間の削減、多重下請構造の是正、適正な運賃収受や価格転嫁への規制的措置について、次期通常国会での法制化を含めた枠組みを整備することとしている。
法制化には時間を要することから、検討会事務局の経済産業省、国土交通省、農林水産省は早急に荷主、物流事業者が取り組むべき事項をガイドラインとして策定。前回会合で示した素案では「荷待ち・荷役2時間以内ルール」で、2時間以内を実践する荷主にも「目標時間設定」を求めたが、「目標時間1時間以内」とさらに踏み込んだ内容になっている。
トラックドライバーの賃金水準向上への環境整備について、最終とりまとめ案では多重下請け構造の是正や、延長が決まった標準的な運賃・荷主対策深度化の措置などとともに「トラック業界は零細事業者が多く、事業承継をしたくても困難な場合もあり、事業承継を円滑に進める支援を検討すべき」と記している。
一方で「賃金水準向上を行わず、将来投資への利益を考慮せずに価格提示する運送事業者との契約は荷主にとってもリスク要因」とし、「優良な事業者を区別し、可視化するような仕組みが必要」との検討会での意見も追記している。
物流は持続可能が求められる重要インフラで、公益性の高い事業であることも再認識したい。