〝新モーダルシフト〟を発信

官民物流標準化懇談会モーダルシフト推進・標準化分科会で、新たなモーダルシフトに向けた対応方策案をとりまとめた。鉄道・内航海運とともに、ダブル連結トラック・自動運転トラックの導入促進、航空貨物輸送のさらなる活用、地域の産業政策・地域政策との連携を図る。
政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」には、鉄道・内航海運へのモーダルシフトを、今後10年程度(2030年代前半までに)で輸送量・輸送分担率の倍増を掲げている。ダブル連結トラック、航空貨物輸送についても10年倍増を視野に取り組み、進捗状況を適時フォローアップすることとした。陸・海・空のあらゆる輸送モードを総動員する。
国土交通省によると、鉄道(コンテナ貨物)、内航海運(フェリー・RОRО船)の年間貨物輸送量の最新数値は、20年度対比で鉄道は23年度時点で1811万と微増傾向、内航海運は22年度時点で5598万トンと増加傾向にある。
これらの数値を踏まえ、鉄道と内航海運へのモーダルシフトの取り組みをさらに強化する。ともに小口貨物の混載輸送やパレット化、大型コンテナ・シャーシの確保への支援を図る。
鉄道貨物輸送では輸送需要増が見込まれる貨物駅の施設整備の支援とともに、災害時対応の観点から代行輸送拠点となる貨物駅での円滑な積み替えができる施設整備の計画的な推進も必要とする。内航海運についても船舶の大型化やターミナル機能強化、自動船舶の商用運航への環境整備を着実に進める。
倍増目標の達成とともに、カーボンニュートラルの実現に向けても、これらインフラ整備の拡充が期待される。
一方で、従来は環境負荷が相対的に高いとされてきたトラックや航空機の輸送モードも、ダブル連結トラックや、定期便の空きスペースを活用した航空物流など、運用条件によっては環境負荷の低減に資するケースがあり、多様な輸送モードを活用した〝新モーダルシフト〟への対応方策を講じることとした。
ダブル連結トラックは19年1月の本格導入以降、対象路線を順次拡大している。利活用が十分に進んでいない中小事業者への導入支援でさらなる拡大を見込んでいる。
モーダルシフトの推進には、発着荷主や消費者の理解、行動変容も重要だ。〝新モーダルシフト〟のメリットなど有効な発信の仕方も求められる。