アフターコロナ変化見据える
コロナ規制緩和による人流の回復で景気が持ち直している。帝国データバンク(TDB)の4月景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは42・1に改善し、2019年12月(42・6)以来の水準まで戻した。
活発なインバウンドを含め観光需要の伸びが大きいが、一般貨物自動車運送の景気DIも40・3と2カ月連続で改善。事業者のコメントからはコスト圧迫と人手不足の懸念が払拭されない状況だが、アフターコロナで物量も緩やかながら全般には上向いている。
全体の景気DIも2カ月連続改善の44・6と消費税率10%への引き上げ直前の19年9月(45・0)に迫る。経済活動が正常化する中で個人消費関連を中心に動き、人出の増加による好循環が幅広い業種に波及しているようだ。
全国中小企業団体中央会の3月景況調査では、運輸業の売上高DIは前月比20ポイント増の大幅伸長でプラスの18・9に浮上した。この水準は17年12月(20・6)以来。景況、収益状況DIはマイナスだが改善を示し、景況は18年12月、収益状況は19年8月以来といずれもコロナ前の水準も上回っている。
コロナ感染症の5類移行で、さらに人出の増加が見込まれ、個人消費を中心に幅広い業界でプラス材料が広がりそうだ。
燃料高騰など長引くコスト高が依然として大きなハードルだが、TDBの4月調査では、運輸・倉庫業界の仕入単価DIは67・7(前月67・8)と高水準も、販売単価DIが57・6(前月56・9)と前月の過去最高値をさらに更新している。販売単価DIは17 業種で過去最高を更新しており、仕入と販売のギャップは業種で開きはあるものの狭まる傾向にある。
ただ下押し材料として注視が必要なのは人手不足と物価高だ。人手不足はコスト負担だけでなく、人流の回復、経済活動の正常化によるプラス材料が各業界に波及しても人材確保が追い付かず、機会ロスが収益の回復を遅らせる。
物価高については先行き不透明だが、消費マインドを下げ、日用品や生活必需品関係など影響が聞かれる。さらに消費動向の〝リアル回帰〟により、活況だったEC需要の伸びも鈍化、宅配大手の数量実績・予想からもその傾向が伺える。
ウイズコロナからアフターコロナへの移行による消費、市場動向の変化もしっかり見据える必要がある。