サプライチェーン全体視点を
政府の「物流革新政策パッケージ」では荷主に行動変容を促す規制的措置の導入へ検討を進めている。これに先立ち国交省、経産省、農水省が「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者ガイドライン」を示し、取り組みを要請している。年内に業界・分野別の「自主行動計画」の作成を求めており動向が注視される。
こうした中で日本加工食品卸協会(日食協)が「荷待ち・荷役作業削減に向けた加工食品業界の取組みガイドライン」を公表した。とくに改善が急がれる長時間の荷待ち・荷役に関するものでサプライチェーン全体へ波及させたい。
差し迫る2024年問題について東京商工リサーチの調査によると、マイナス影響が生じると最も多く回答したのが、産業別では卸売業、業種別では食料品製造業だった。食料品はバラ積み貨物が多く、荷待ち・荷役作業時間が長い一方、受注から納入の期限が短く、ドライバーの長時間労働を招く。上限規制適用への対応がとくに迫られる。
食品業界では昨年4月に卸の日食協、大手メーカー8社による食品物流未来推進会議(SBM)、小売りの日本スーパーマーケット協会(JSA)、全国スーパーマーケット協会(NSAJ)、オール日本スーパーマーケット協会がFSP(フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト)を発足。製配販5団体が連携し、納品期限の緩和やリードタイムの延長など議論を重ねている。
今般、国の自主行動計画作成の要請を受け、まずFSPとして製配販共通の行動指針をつくり、それに基づき各業界で自主行動計画を作成する方向だ。日食協ではFSPの行動指針を自主行動計画とする考え。これに先立ち荷待ち・荷主対策をガイドラインとして示しており、国の対応とは別に早期に解決すべき課題であることが伺える。
また、FSPの行動指針案については農水省の「加工食品分野の物流の適正化・生産性向上に向けた取組の情報連絡会」で報告され広く水平・垂直連携が期待される。
経産省では140の業界・分野に自主行動計画の作成を求めているが、西村康稔大臣は6日の関係閣僚会で「各業界では、従来の商慣行を変えていくべく自主行動計画の作成に向けた検討を加速させている」と述べている。
24年問題に対し業界・分野の温度差もあろうが、加工食品業界にみられる、製配販サプライチェーン全体での視点が物流改善においては不可欠だ。