トラック小規模化に歯止め

トラック運送事業は、トラックドライバー不足への対応や長時間労働改善をはじめ、今なお多くの課題を抱えている。

国土交通省がまとめた2015年度末の貨物自動車運送事業者数統計によると、霊柩も含めた営業用トラック事業者数は、前年度比0.74%減の6万2176社とほぼ横ばいだが、4年連続で減少した。

新規参入は前年度比22.7%増の1167社と3年ぶりに増加に転じたが、1990年度以降の26年間では下から3番目。その一方で撤退は、同33.6%増の1628社と2年連続で増加し、2008年度の2090社、2007年度の1663社に次ぐ過去3番目の高水準だ。

1990年の規制緩和以降、右肩上がりで増え続けてきた貨物自動車運送事業者数は、2007年度末に6万3122社のピークを付けて以降、それまで毎年2000社以上あった新規参入が減少に転じ、逆に撤退が1000社を超えるようになった。

2015年度末の事業者数は、2007年度末に比べ1000社近く減少したことになる。

業態別に見ると、特別積合せ事業者は前年度比6社増えて286社となり、一般事業者が495社減の5万6722社となった。霊柩事業者は48社増の4705社で、特定事業者は20社減の463社。

車両数規模別に見ると、10台以下の事業者は前年度末より519社、1.5%減少して3万4819社となり、全体に占める割合も前年度の56.4%から56.0%へと減少。4年前の2011年度末は58.1%を占めていたことと比べると、2ポイント以上減少している。

一方、営業用トラックの車両数は4年連続で増えており、2011年度末の133万3780台と比べ、4万台近く増加している。

事業者数が減少しているのに、車両数が増加しているのは、事業者の小規模化に歯止めがかかりつつあるために他ならない。10台以下の事業者数は、4年前と比べて、1860社も減少した。

車両数規模別の事業者数を4年前と比較すると、減少しているのは10台以下と11~20台規模だけで、21台以上の規模はすべての区分で増加している。

31~50台は260社増の4360社、51~100台は244社増の2806社、101~200台は208社増の829社などと増加しており、興味深いのは規模が大きくなるにつれ、その増加率が高くなっている点だ。501台以上の事業者数は61社から97社へと59.0%も増えている。