フォローの風を活かそう
2019年もスタートして3週間が経つが、依然として荷主企業から製品価格値上げの発表が相次いでいる。
飲料大手のコカ・コーラは4月1日出荷分から、コーラ1・5㍑ペットボトルなど一部製品の価格をそれぞれ20円値上げする。
これを追随するようにサントリーも1・2㍑以上のペット容器商品全品を5月1日の出荷分から、それぞれ20円値上げする。
冷凍食品では、日清製粉グループの日清フーズが業務用の価格を4月1日出荷分より約1~7%値上げする。
理由は、いずれも原材料費など製造コストの上昇だけでなく、人手不足による人件費や物流費等の上昇が「個別の企業努力では吸収できなくなった」ことからだ。
帝国データバンクが毎月調査している景気動向調査によると、運輸・倉庫の販売(運賃・料金)単価DIは、12月が55・3だ。昨年6月から単価DIは55台の高い水準を維持しており、物流企業が、運賃・料金の適正収受に取り組んでいることを浮き彫りにしている。
一般論になるが、物流がその機能を発揮し続けるためには、「各社の努力とともに、垣根を超えた協力による連携・協働が重要だ」といわれている。だからこそ物流が、競争領域から協調領域へと変わりつつあることが指摘される。
迎えた2019年も取り巻くトラック運送事業の経営環境は、深刻な人手不足、長時間労働改善などの厳しい課題が山積している。
ただ、行政やトラック協会などの団体が、今年は「働き方改革」、「改正トラック事業法」、荷主とトラック運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けた「ガイドライン」、改正運送約款に伴う「運賃・料金の届出」などについて、セミナー開催など経営環境の改善に向けた支援を積極的に展開する。
また、トラックドライバーの拘束時間削減など荷主企業が「働き方改革」に取り組む例もみられる。物流センターにAI技術を活用した製品荷揃い計画・トラック誘導に関する新システムを完成し、運用を始める企業もある。
トラック運送事業の一丁目一番地である安全への取り組みは、企業が安定した再生産を行えることが前提となる。
行政も後押しし、フォローの風が吹いている今、運賃交渉に取り組んでもらいたい。それぞれの立場で知恵を出し合い、企業と業界が健全に発展するよう期待したい。