不断の革新に取り組む

国土交通省、経済産業省、農林水産省は、改正物効法の荷主、物流事業者に対する規制的措置を議論する合同会議の取りまとめ案を公表した。意見募集を26日まで行っている。
規制的措置は全事業者(努力義務)に公布後1年以内(2025年4月)、一定規模以上の特定事業者(義務付け)に2年以内(26年4月)に課せられる。合同会議では関係50団体以上と意見交換を重ね、荷待ち・荷役時間削減、積載率の向上など努力義務の基本方針、判断基準と、特定事業者の選定、課せられる中長期計画や物流統括管理者(CLО)選任など検討してきた。
国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は「荷主側、物流事業者側の両方の意見をしっかり反映した。パブコメでも意見をいただき、それを受けて丁寧に議論を進めたい」と述べている。
取りまとめ案には委員の意見として「より活用しやすい制度運用・周知」、「地方の物流」、「物流改善に資するデジタル化の推進」を明記している。とくに地方は農産物など2024年問題の影響も含め、継続的な方策に留意する必要がある。
今般の法改正は政府の物流政策パッケージに基づく。取りまとめ案にも「政府において適時適切なタイミングで継続的にフォローアップを」としている。
斉藤鉄夫国交大臣は9月27日の定例会見で24年問題の影響について、「関係者の取り組みが成果をあげていることや、時間外労働の上限規制が現時点では大きな制約要因となっていないと思われ、物流の現場から目立った混乱は聞かれない」との認識を述べている。
その上で、詳細に実態を把握するため、トラックドライバーの労働時間や、物流効率化に向けた荷主・物流事業者の取組状況に関する実態調査を実施しており、荷主所管の関係省庁と連携しながら引き続き政府一丸で臨む姿勢を示す。
トラックの実態調査では多重下請け構造是正へのアンケート、ヒアリングも進められる。24年問題は構造的問題であり、より実態に即した対応が不可欠だ。
斉藤大臣は先の物流連との意見交換で、陸・海・空の輸送モードを総動員した新たなモーダルシフトや、取引適正化へのさらなる取り組み、新技術の実装を見据えた物流拠点整備の在り方など、年内の具体化へ検討を進める方向を示している。
物流現場の実態を踏まえ、物流革新へ不断の取り組みが求められる。