企業間連携促す仕組みづくり
モーダルシフトや共同配送などで、これまでの枠にとらわれない新たな事例がみられてきた。
長距離輸送が主体の鉄道へのモーダルシフトでは、ネスレ日本がJR貨物グループと連携して、より貨物量の多い中距離輸送でも定期輸送を開始。静岡~大阪間で1社200㌧/日規模の輸送は食品・飲料業界初となる。
貨客混載ではJR東海が4月から東京~名古屋~新大阪間のこだま号業務用室を活用した輸送サービスを開始する。1日48本の運行で1列車段ボール箱40箱相当。これにより新幹線荷物輸送は全国を繋ぐ新たな輸送モードとなる。
航空便ではヤマトホールディングスが日本航空と連携し4月から貨物専用機の運航を開始するが、全日空が4月から羽田発岡山行き昼間の旅客便空きスペースを活用したサービスを始めると発表した。EC自動出荷システムを提供するロジレスと連携し、EC・倉庫事業者から始め、今秋にも全事業者に拡大する考え。DXを駆使した新たな価値創出の可能性も膨らむ。
共同配送ではファミリーマートとコカ・コーラが神奈川県内でコカ・コーラの店舗配送トラックを共同活用する。コカ・コーラのトラックが稼働しない時間帯にファミリーマート店舗への配送に使用するもの。先月から始め、検証を通じて対応可能なエリアを順次拡大するという。
政府の物流革新に向けた政策パッケージに基づき、物流効率化への施策が具体化する中で、こうした事業者の主体的な取り組みは物流革新を強く推し進める。2024年問題が社会全体に大きくクローズアップされ、商慣行の見直しとともに、業種・業界の枠を超えた物流改善の新たな視点も生み出す。そこでは物流、発着荷主など事業者間の強い連携が不可欠だ。規制的措置とともに、企業間の連携を促す仕組みづくり、環境整備が求められる。
「ホワイト物流」推進運動の賛同企業が5年目となる今年度で2千社を超えた。自主行動宣言の趣旨の中で荷主には「納品先、物流事業者と理解・協力し合い非効率な点を見直す」、物流事業者には「荷主の物流業務内容を踏まえ、生産性向上や非効率の解消へ積極的な検討や提案を」とある。
同運動のポータルサイトには改善事例を紹介する「物流改善見本市」や、賛同企業間の出会い・連携を支援する「集いの場」を開設している。意識の高い多様な業界・業種の企業間連携を促したい。