供給網全体で取引適正化
国土交通省は昨年に続き荷動きが活発になる11・12月を「集中監視月間」として「トラック・物流Gメン」による荷主・元請事業者への監視を強化している。トラック運転者の労働条件の改善や取引適正化への取り組みを加速化する。
物流全体の適正化を図る観点から、「トラックGメン」を、倉庫業を含めた「トラック・物流Gメン」に改組、倉庫事業業者からも情報収集を行っている。国交省の物流担当職員に、同じく始動した適正化実施機関の「Gメン調査員」を加えた総勢360人規模。新体制で事業者への聞き取り調査(プッシュ型情報収集)の厚みは増す。
とりわけ倉庫事業者は荷待ち時間の削減において、寄託者である発・着荷主の協力が必須。日本倉庫協会もホームページの「2024年問題に関する相談窓口」を「トラック・物流Gメンよろず相談室」に改め、違反原因行為のある荷主や、荷待ち・荷役時間削減に非協力的な荷主の情報を求める。サプライチェーン全体での取引環境適正化へ大きく動いている。
11月26日に行われた自民党の物流倉庫振興推進議員連盟総会で古川康国土交通副大臣は「物流を支える倉庫はサプライチェーンの結節点であり、事業が円滑に行われることをしっかり支える。その第1としてトラック・物流Gメンの改組があり、名前だけでなく中身も充実させる」との決意を示し、「実際の運用面においては現場の声を聞かせていただきたい」と求めた。
情報収集面では各地で工夫を凝らした活動が広がっている。
西日本の地方運輸局4局が連携し、9月末に大阪市内で初の合同パトロールが行われた。国交省の「目安箱」には荷主等に関する情報が寄せられるが、多くは投稿者の連絡先不明や連絡不可など是正指導に結び付いていない。連携してこうした声を荷主に届けた。一般メディアも取り上げ、社会からのGメンへの関心の高さがうかがえる。
中部運輸局、愛知運輸支局はGメン調査員とともに3者合同で12月6日に「刈谷ハイウェイオアシス」において、トラック運転者への聞き取り調査のほか、一般消費者向けの広報活動を実施する。施設来訪者に対し、トラック・物流Gメンの活動を周知するためチラシやノベルティグッズを配布するという。
Gメン制度の実効性を高めるにも、まず現場からの具体的で有益な情報を得ることから。それを引き出すべく動いている。