供給網全体で脱炭素化を
物流関係団体の通常総会が各地で行われているが、コロナ禍で見送っていた総会後の懇親会を再開したところも多い。対面による交流は活発な情報交換を促し、厳しい経営環境が続く中でも一致団結して乗り越えようと機運を高めるものだ。
関係者のあいさつからはやはり24年問題やコスト圧力への懸念が多い。一方で政府の物流政策パッケージをはじめ、国の後押しが物流業界に強い追い風となっていることへの期待も聞かれる。
24年問題への対応がクローズアップされるが、物流の効率化とともに取り組みが求められるのが脱炭素化の推進である。2020年10月に政府がカーボンニュートラル宣言を行い産業界の動きが加速。自動車業界も先日、三菱ふそうと日野の統合発表があり、企業経営における脱炭素化実現への位置づけはますます大きくなる。
その一方で中小事業者が多くを占める物流、トラック業界では足元のコスト圧力、人手不足の問題を抱え、脱炭素化へどう動くか難しい対応に迫られている。
エネルギー使用量やCO2排出量を見える化する様ざまなツールが開発され、その中身も進化している。企業単体にとどまらず、サプライチェーン全体で脱炭素化を実現させようとの流れでもあり、事業者間連携による効果も見出したい。
政府が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」においても物流GX(グリーントランスフォーメーション)の推進が具体的な施策の1つに盛り込まれている。モーダルシフト・モーダルコンビネーションを地域の実情に応じて促進するとともに、車両や施設などの省エネ化・脱炭素化を推進。とくに貨物鉄道や内航海運の輸送力増強・活用については、30年度に向けた政府の中長期計画の策定へ定量的に示せるよう、関係者間で速やかに協議を開始することとしている。
ハード面での支援措置とともに、モーダルシフトの強力な促進には「貨物鉄道の輸送余力をより広い対象に見える化したシステムの導入」や、「フェリー積載率の定期的な調査・荷主企業等への情報提供」など、利用可能な輸送力について周知を図るとしており幅広い普及を促している。
物流DXによる効率化・生産性向上への施策もCО2排出抑制につながる。24年問題による物流の停滞を回避するためにも、モーダルシフトなどを含めた脱炭素化の推進も直面する課題ととらえる必要がある。