効率化と新たな価値創出を
日本郵政グループが公表した中期経営計画(2021-25年度)によると、郵便物数減少という厳しい経営環境が続く中で〝お客さまと地域を支える共創プラットフォーム〟を掲げ事業競争力を強化する。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が大きなテーマであり、物流改革にもつながる新しいビジネスモデルの転換に期待したい。何より一昨年度来の金融商品・サービスに係る不祥事からの信頼回復が急務だ。〝お客さま本位〟の業務運営を徹底させる。DX、技術革新を通じた施策も効率化、生産性向上と同時に〝お客さま視点〟に立った価値の創出が肝要だ。
デジタル化の加速とともに今後もライフスタイル、働き方と社会そのものが大きく変わることが想定される。お客さま、ユーザーとの接点機会の在り方も問われる中で、しっかりと顧客変化を汲み取りスピード感を持ってサービスに反映していく作業が求められる。そこでは専門人材の育成や外部人材の受け入れも大きな要素になるだろう。
JPが掲げた共創プラットフォームは、グループ一体でのDX推進により、リアルの郵便局ネットワークとデジタルを融合するもの。そこにはグループのみならず様ざまなパートナーとの連携も不可欠だ。
物流各社の事業者間連携も、効率化とともに新たな価値を創出する共創の動きがさらに強まっている。この環境変化の中でIT企業やベンチャーとの連携も広がりを見せる。さらにより多くの事業者が物流危機への問題意識と新たな価値創出を共有するオープンプラットフォームの構築が一気に進む機運にある。
JPは楽天グループとの提携で新たな物流プラットフォームを構築する。共同出資の新会社に楽天の物流事業を承継して物流DXの共同事業化を行うもので、楽天のECサービスの取扱いだけでなく、他の配送会社、荷主も参加可能なものとする。これにより人手不足など国内物流環境の健全化に貢献するビジョンを表明している。
物流DXは次期物流施策大綱にも要点に掲げられる方向であり、大手が先行してビジネスモデルを示すことが望まれる。中小零細が大半を占めるトラック運送事業者が抱えるDXへの投資、技術革新の課題が払拭され前向きに施策に講じられるような環境整備が急がれる。
効率化と新たな価値創出を実現するこれからの共創が中小零細事業者の経営の底上げにもつながるものと期待したい。