協同組合の活性化期待

トラック運送事業協同組合のナショナルセンターである、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連/吉野雅山会長)が14日、札幌市で第54回通常総会と第17回全国大会を開き、2018年度の事業計画などを決めるとともに、全国から集った550人の関係者が交流した。

日貨協連は、数年前から組織見直しや情報発信、経済事業の活性化に取り組んできており、その成果が出始めている。

経済事業の取り組みでは、保険事業が目標値をクリアしたことなどにより、既存の斡旋事業についても、事業の見直しなども実施して業績向上を目指していく方針だ。新たな個別事業では、ドライバーの脳疾患、心臓疾患などを防止する対策の一つとして、健康管理医療器具(「業務用血圧計」)販売事業を柱に位置づけている。

時代の流れは大きく変化し「IoT、AIなど世の中は第4次産業革命が起きている」と言われる。大企業はできるだろうが、中小企業はどのように解決していくのか。

1年前、古屋芳彦前会長からバトンタッチした吉野新会長は総会後の全国大会であいさつし、「協同組合は、一人でできないことを仲間で解決しようという相互扶助の精神で作られたはずだ。皆さんの経営に資し、コスト低減につなげるべく、皆さんの力で盛り立てる日貨協連を作り上げたい」と一致結束を求めた。

トラック運送業界は昨年11月、標準運送約款の改定で、より実態にあった運賃・料金の収受が可能となり、運賃交渉が行われている。だが、まだ適正とまでは言えない。一方、ドライバーの高齢化は進行し、健康確保なども含めて、厳しい状況が続いている。

深刻なドライバー不足や長時間労働などへの対応は喫緊であり、中小企業は自社だけで対応できない取引もある。こうしたなか、共同輸配送の推進など物流の生産性を高めることに資する事業として、WebKITが利用者を増やしている。

KIT事業は、2011年のシステム全面改良から既に7年を経過しており、今年度は使い勝手の良いシステムへの見直しを進める。組合事業利用率の向上で組合員企業を支えるのが狙いだ。

組織強化では、15年度から活動を停止し休眠状態となっていた青年組織「YOU」の活動再開がある。

協同組合の将来を担う青年組織として活動の再開をめざして準備を行う。当面の活動は、研修や各種調査委託への協力が中心になるようだ。

相互扶助をめざす、協同組合の活性化に期待したい。