多様な連携から新たな成長
国土交通省は、有識者、物流関係団体による「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」を立ち上げた。2024年問題で物流の構造的課題への対応が迫られる中、ニーズが高まる中継輸送拠点や、新技術の進展も見据えた基幹物流拠点など、公共性を前提に政策の方向性をまとめる。
9月に斉藤鉄夫国交大臣が日本物流団体連合会との意見交換会で、地域全体の産業インフラでもある物流拠点について「中継輸送の普及など社会的ニーズの変化や自動運転等の新技術の実装を見据え、物流拠点の整備等に係る政策のあり方を検討する」と発言しており、年度内にも骨子・報告書案を取りまとめ支援策などに反映させる。
10月30日の初会合で鶴田浩久物流・自動車局長は「物流拠点は結節点として物流の時間と空間のあり方を変えるポテンシャルを持つ」と大きな期待を寄せる。さらに24年問題への対応で省庁間の連携をはじめ多様な協力関係が生じたことに言及し、検討会でも様ざまな知見を集め、「ウインウイン、三方良しを基本に」臨む姿勢だ。
検討会には各方面からの有識者、関係団体のほか、行政のオブザーバーも荷主所管の経産省、農水省に、国交省も不動産・建設経済局、都市局、道路局、港湾局が入り関係者総動員で対応する。
24年問題を契機に政府の物流政策パッケージのもと、商慣行の見直しや物流の効率化に向け法改正の規制的措置が進む。さらに物流の持続的成長へ、DX・GXや多様なモードの活用、今回の物流拠点の機能強化など、物流産業全体でさらなる革新を推し進める機運でもあり、「ソフト・ハード一体として積極的な政策の推進を図る絶好機」ととらえている。
初会合では議論の対象となる倉庫(営業、自家用)、トラックターミナル、トラックステーション、物流不動産の事業規模や稼働状況、また委員の三菱UFJ信託銀行が、中継拠点の潜在需要や分散拠点の地理的傾向の詳細な分析結果を示し広く共有した。
委員からは老朽化した倉庫の対応も含めた物流拠点の再構築について、
「全体最適化」「公共性」といった切り口や「自治体との連携」など意見が目についた。いずれも多様な連携による取り組みが不可欠だ。
物流不動産の大型施設では災害協定や地域住民とも一体となったまちづくりを志向する動きも目につく。地域と連携した物流の新たな価値創出の観点からも注視したい。