大手5社に見る今期予想

陸運大手5社の2017年3月期決算見通しが出揃った。5社の売上高合計は、前期比0.3%増の5兆5610億円、金額ベースで153億円の増収を見込んでいるが、前期に比べ売上高の伸び率は大幅に鈍化している。

営業利益の5社合計は前年と同じ2255億円にとどまった。経常利益は1.1%増の2355億円、純利益は2.0%増の1417億円と増えており、全体としては前年を上回ると予想される。5社合計の売上高営業利益率は前期と同水準の4.7%になる。

増収は日本通運、ヤマトホールディングス、日立物流、セイノーホールディングスの4社。増収企業のうち日通とセイノーHDは営業増益の見通しだ。

日立物流は、営業利益が為替の影響や受注に成功した大型戦略案件の立ち上げコストなどにより1.1%減益を見込んでいるが、実質的には増収増益ペースだ。経常利益は9.6%、純利益は32%の増益を計画している。新中期経営計画では2018年度に売上8000億円、営業利益340億円、営業利益率4.3%をめざしている。

一方、ヤマトHDは、宅急便の単価下落はあるものの、宅急便の増加(6.9%増)やノンデリバリー事業の伸長による増収を見込んでおり、増収率3%台を計画している。

利益面での減益は、今期を次期中期経営計画JUMPでの成長に向けた足固めの年と位置づけ、成長投資を投資しているためだ。フランスのネオポスト社との共同宅配ロッカーの設置では、5000カ所と投資を先行させる。

減収減益はSGホールディングスのみだが、要因はリートを活用した不動産流動化が前期ほど見込めないためで、不動産事業を除けば増収増益ペースだという。売上高営業利益率は5社の中ではトップの5.4%(前期は5.7%)だ。

SGHは今期からスタートした新中期経営計画で、2019年3月期(2018年度)には売上高1兆円、営業利益620億円、売上高営業利益率6.2%、計画3カ年累計の投資額は2940億円の数値目標を掲げている。

業界を取り巻く環境は、先進国経済が不透明感を増し、好調だったアセアン諸国の経済も、中国経済の減速に伴って成長が鈍化している。こうした環境下のもと、大手物流企業は合従連衡で取扱物量の拡大と事業規模の拡大をめざしている。今期は経営基盤を固める年なのかもしれない。