存在感高める契機に
「ホワイト物流」推進運動に約90社が賛同表明(6月24日時点)している。働きやすい、生産性の高い物流実現へ、さらに運動の輪が広がることに期待したい。
荷主や物流元請け企業などに対して、自主行動宣言の必須項目に合意することで賛同表明(企業名公表)するものだ。国は今春、上場企業と各都道府県主要企業の計約6300社に参加要請書を送付した。賛同企業の数、取り組み状況などの集計は第1回を9月末締め切り・10月頃公表としているが、ポータルサイトでこのほど直近の状況を地域別・業種別で公表した。
企業ベースでも運動に賛同したことをニュースリリースなどで発表し、広くPRするところも見られる。
トラック運送業はドライバー不足が喫緊の課題。高齢化も進み、社会的インフラである物流機能を維持することを広く周知する必要がある。
6月27日の全日本トラック協会総会後懇親会であいさつした、石井啓一国交相は「少子高齢化のなか、人材を確保するには働き方改革を進め、トラック運送業の魅力を高めること」と指摘しながら、ホワイト物流推進運動を「トラック輸送の生産性向上や物流効率化へ荷主企業などに呼びかけており、引き続きしっかり運動を展開したい」と強調した。
荷主との協力体制では、改正事業法における「荷主対策の深度化」が7月1日施行となり、荷主への理解・協力を継続的に呼びかけていく必要がある。
ホワイト物流推進運動では、消費者に対しても宅配便の再配達削減、引越分散化のほか政府広報媒体による周知活動も行っており、よりインパクトのある発信が望まれる。
取引先、さらに消費者も巻き込んだ支援を得ながら、トラック運送事業者も、魅力ある職場環境づくりに努めなければならない。
こちらは「ホワイト経営」の切り口で議論を進めてきた、新たな認証制度の報告書がとりまとめられた。認証団体を選定の上、年度内にも募集を始める。正式名称の「運転者職場環境良好度認証制度」が示す通り、自社の働きやすさや取りみ組みの状況を示し、採用活動の円滑化につなげるもの。今回、より多くの事業者が取り組めるよう認定項目を設定し、状況を見て基準を引き上げることを検討するという。
こうした見える化の推進が、労働環境の改善につながるとともに、トラック業界全体の存在感を高める契機にしたいところだ。