悪質行為阻止へ情報提供

トラックGメンによる昨年11、12月の集中監視月間で、荷主、元請に対し多くの法的措置がなされたが、国土交通省によると、その後も月平均50件ほどの「働きかけ」が行われている。プッシュ型の情報収集活動が広がり、トラック事業者からの情報提供も増えている。それだけ長時間の荷待ちをはじめ違反原因行為とみられる事案が後を絶たない。
貨物自動車運送事業法に基づく「荷主対策の深度化」が施行されたのが2019年7月で5年を経過する。
6月末までの5年間における法的措置件数は累計811件(働きかけ635件、要請174件、勧告2件)にのぼるが、総勢162人体制によるトラックGメン創設(昨年7月21日)までは平均月1・8件であり、多くがGメン体制下のこの1年で行われている。
こうした状況から「荷主対策の深度化」は「標準的運賃」とともに今年3月までの時限措置が「当分の間」に延長された。「標準的運賃」は3月に運賃水準を8%引き上げる新たな告示を行い、荷主対策においても地方適正化事業実施機関が悪質な荷主等情報を調査し、トラックGメンと連携、補完する法改正が予定されている。
違反原因行為をみると、長時間の荷待ちが53%と最も多く、次いで、契約にない附帯業務(16%)、運賃・料金の不当な据置き(13%)、無理な運送依頼(8%)、過積載運送の指示・容認(6%)などとなっている。また、「働きかけ」の635件では荷主が423件、元請が193件に対し、次の段階である「要請」の174件では荷主88件、元請81件と元請の件数も多いことが分かる。
このスキームは違反原因行為の疑いがあれば「働きかけ」を行い、違反原因行為の相当な理由があれば「要請」、なお改善されない場合は「勧告」し、公表するもの。集中監視月間後の1月以降は「働きかけ」のみであり、国交省によると、書面調査も実施した集中監視月間において一気に「要請」を行ったことによる。
引き続きフォローアップにより改善状況を確認し、厳正に対処する考えだが、24年問題に直面する中で荷主側も物流改善に向き合い対策を講じていることも伺える。この間、トラックGメンの露出を高め関心が向けられたことも抑止になっているようだ。
「働きかけ」相当の案件は依然続発するが、悪質行為を阻止するにも、現場の情報提供が不可欠だ。