持続的成長描ける環境整備を

昨年6月に政府が取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」の進捗と今後の方針について、7月25日の関係閣僚会議で報告された。2024年問題への対応とともに、30年度に不足する輸送力34%を補うことを目指し引き続き必要な施策を講じていく。
政策パッケージ3本柱の1つ「商慣行の見直し」は、法改正による規制的措置の施行へ詳細の検討が進められ、さらにトラックGメンの機能強化など取引適正化への動きが進展する。
トラックGメンは地方適正化事業実施機関にGメン調査員を設置するほか、関係者間でタイムリーに情報を共有するため、荷主情報などを管理するクラウドシステムを整備するという。
こうした取引適正化の動きは政策パッケージの下、省庁間の連携が一段と強まっていることを示す。より実効性ある取り組みが期待される。
政策パッケージを受け、国交省、経産省、農水省は昨年6月に「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を作成した。改正物流法の施行が25年4月(努力義務)、26年4月(特定事業者)であり、施行を待たずに業界の自主行動を促すもので、現在、約160業界団体・企業が自主行動計画を策定、実行に移している。
今年2~3月に行った遵守状況のアンケート調査では、発着荷主の「荷待ち時間・荷役作業等に係る時間の把握」は「すべて対応」の回答は低いが、「部分的に対応」、「検討中」を含めると9割近くが回答し、一定の取り組み拡大が見込まれる。
「商慣行の見直し」とともに政策パッケージの柱には「物流の効率化」、「荷主・消費者の行動変容」がある。物流効率化は、DX・GXやモーダルシフト、標準パレット推進などへの支援策とともに、自動運転トラック、ドローン物流、自動物流道路など「無人物流網」の実装を、30年代半ばを目指す方針が示された。
岸田文雄総理は「既存の物流インフラを活用しつつ、物流の常識を根本から革新していく取り組みが不可欠」とし、来年度予算や秋に予定する経済対策を含め、長期ビジョンに立った対策を迅速に講じるよう指示している。
政府は今年2月に30年に向けた中長期計画を策定している。着実にフォローアップを行い、まず取引適正化を実現し、そして物流業界が「革新」に積極的に臨み、持続的成長が描ける環境づくりが求められる。